2016/03/11

避難者、震災きっかけに看護師に 古農さんが日赤看護短大を卒業

2016年3月11日 秋田魁新報
http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20160311b

東日本大震災以降、福島県浪江町から秋田市に避難している古農(このう)修一郎さん(22)が11日、日赤秋田看護大を卒業する。4月から福島赤十字病院(福島市)で看護師として働く。「震災でつらいことがたくさんあった。でも、秋田で仲間と出会い、成長できた。学んだことを古里で生かしたい」と前を向く。

学びやで仲間と語らう古農さん(左から3人目)

看護師を志すきっかけは震災だった。当時は双葉高校(双葉町)の2年生。剣道部の練習中に立っていられないほどの揺れに襲われ、校内に物が散乱した。仲間と校庭に避難した際、養護教諭がけがをした生徒を手当てする姿を見て「自分も力になりたい。でも医療の知識も技術もない」と感じた。この時の無力感が進路選択に結び付いた。

自宅は東京電力福島第1原発から6キロ。古農さんは家族5人で親類、知人を頼って北上。震災4日後、秋田市に身を寄せた。「すぐに元の暮らしに戻るだろう」。その淡い期待は薄れ、地元の仲間と離れ離れとなった。見知らぬ土地での避難生活を始め、秋田中央高校に編入した。

「古里を離れても復興や防災のために役立ちたい」。卒業後、秋田看護大に進学すると災害看護を学び、防災活動に取り組んだ。1年生の時は被災地から児童を招いた北海道でのキャンプに参加し、児童と遊んで語らい、震災で傷ついた心に寄り添った。

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