http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/5/15630.html
東京電力福島第一原子力発電所から半径20キロ圏に位置する福島県川内村は先月、全域で避難指示が解除されたが、7700点近くの地元食材を調査した長崎大学のグループは、野菜や果物に比べて、山菜やキノコでは、放射性セシウムの濃度が基準値を上回るものが多かったと発表した。
2011年3月の原発事故後から、福島県ではいち早く、食材に含まれる放射性セシウム濃度の基準値が設けられ、基準値を上回る食品は市場に出回らないように流通制限している。しかし、住民が自家栽培したり、野山で採取する食材については、これまで十分に評価されてこなかった。
長崎大・原爆後障害医療研究所の折田真紀子助教らのグループは、復興推進拠点のある福島県川内村で野菜や果物、イノシシなどの食肉や川魚など7668点を採取し、放射性セシウム濃度を測定した。
その結果、野菜では4080サンプルを調べたうち、基準値を上回ったのは0.1%(5点)、果物では1.2%と少なかったのに対して、山菜やキノコでは1986点中、3割以上の652サンプルが基準値を上回ったという。
このほか、川魚では約39%、イノシシなどの肉では9割のサンプルで基準値を上回る高い濃度の放射性セシウムを検出した。
一方で、これらの食材を1年間、平均的な摂取量を食べたとしても、内部被ばく線量は20〜40マイクロシーベルトと、胸部レントゲン写真1枚分を撮影する際に浴びる放射線量に満たないことがわかった。
長崎大のグループは、今回の調査結果について「今後は、より一層住民の視点に立ったリスクコミュニケーションを展開していく必要がある」と話している。
なおこの研究成果は、科学誌ネイチャーの姉妹誌「サイエンティフィック・レポーツ」に掲載された。
長崎大の原爆後障害医療研究所は、川内村で採取される食材の放射性セシウム濃度を測定。 山菜やキノコの多くが基準値を上回った(提供:長崎大) |
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