2016年7月28日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160728/ddl/k07/040/020000c
東京電力福島第1原発事故に伴い県内市町村が実施する道路側溝の除染を巡り、当初は空間放射線量が除染対象となる国の基準値以上だったものの、時間の経過などで基準を下回り、側溝にたまっていく土砂を撤去できない場所が各地で生じている。除染の対象外になると、国から撤去費用が出ない上、住民が放射線を不安視するため、土砂の処分先を確保できないからだ。
県北の8市町村、国に負担要望へ
福島市など県北8市町村は28日、基準値未満でも撤去費用を負担し、土砂を中間貯蔵施設(大熊、双葉町)に搬入できるよう求める要望書を国に提出する。
国が除染の対象とする基準は、地上から1メートルの空間放射線量が毎時0・23マイクロシーベルト以上の地点。原発事故の避難指示区域内は環境省、区域外は各市町村が除染を実施し、費用は国の交付金で賄う。除染で出た土砂は、国の中間貯蔵施設に搬入する。
福島市によると、市道(総延長2948キロ)の除染の進捗(しんちょく)率は1日現在で45%。市は、高線量の地点から除染を進めてきたものの、未着手の地点は放射能濃度の自然減衰などで線量が除染基準を下回る場所も出てきており、少なくとも総延長の1〜2割を占めるとみられるという。
環境省は、基準値未満の土砂の撤去に、財政措置しない方針のため、市は、撤去に着手できない。だが、土砂がたまり続けると、大雨で側溝から水があふれたり、悪臭が発生したりする恐れがあるという。市費で撤去したとしても、近隣住民が放射性物質の飛散などを懸念しているために、市の埋め立て処分場は使えず、汚染土の行き場がないという。
市の担当者は「線量が基準値未満でも汚染された土砂だ。除染で撤去した土砂と同様に国は財政措置をし、中間貯蔵施設に搬入すべきだ」と話している。
郡山市やいわき市などでも、同じ問題が起きており、環境省に福島市と同様の要望をしている。同省の担当者は「線量が基準値未満なら除染の必要はなく財政措置は難しい。撤去した土砂を中間貯蔵施設に搬入するかどうかは検討している」と説明している。(土江洋範)
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