2016/07/21

【報道まとめ】汚染牧草 堆肥化実験中間報告/宮城 

堆肥化中間報告 セシウム濃度は微増 重量は9割減/宮城

2016年7月21日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160721/ddl/k04/040/026000c

栗原市が進める東京電力福島第1原発事故で放射能汚染された牧草を堆肥(たいひ)化して減容する実証実験で、特殊な微生物を使用した場合、牧草の重量が48日間で9割以上減る一方で、放射性セシウムの汚染濃度が推定約1・2倍の濃縮にとどまる可能性が高いことが分かった。市に委託された環境プラントメーカー「共和化工」(東京都)が20日の中間報告で明らかにした。

評価委員の松井三郎京大名誉教授(環境工学)は「カロリーの低い牧草でうまく発酵するか心配だったが、非常にうまくいった」と評価。農作物系の処理方法として焼却より有効との見方を示した。

中間報告会は同日、同市金成の実験施設であった。実験は5月29日に開始。同社によると、汚染牧草約2トンに、外気温に関係なく発酵する特殊な微生物約12トンや牛ふん、水を加えて発酵させた。開始から48日目の今月15日時点の重量は約12トンだったことから、同社は「微生物に分解されて牧草の90%以上はなくなった」と判断した。一方、汚染濃度について、同社は発酵前に全体で放射性セシウム362ベクレル(1キロ当たり)が、発酵後でも約1・2倍の約450ベクレル(同)にとどまったと推計した。21日以降に正確な濃度を測定する。

同社は今後、堆肥にさらに微生物を加え、農水省が定める肥料としての暫定許容値(400ベクレル)を下回る300ベクレル程度まで希釈。この堆肥を使い、トマトやニンジンなど計7種類の野菜や花を育てる実験を行う。最終結果は12月中〜下旬ごろにまとまる予定。【山田研】




<汚染牧草>堆肥化実験 重さ10分の1に

2016年7月21日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201607/20160721_13029.html

宮城県栗原市は20日、東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染された市内の牧草を堆肥化する実証実験について、牧草の重量が10分の1程度に減ったとする中間結果を公表した。市は実験で生成された成果物を堆肥にして野菜を栽培し、作物への影響などを分析。引き続き、焼却によらない有効活用の可能性を探る。

5月23日に開始した実験では、1キログラム当たり3000ベクレル前後の牧草2トンに微生物12.4トン、水と牛ふん計5.1トンを混ぜたものを使用。定期的にかき混ぜて発酵を促した結果、総重量19.5トンは15日時点で12.2トンまで減った。微生物の分解量を考慮すると、牧草は200キロ程度に減少したという。

総重量が減ったため1キログラム当たりの放射性セシウム濃度は濃縮され、数値は実験前の362.5ベクレルから457ベクレルとなった。市は微生物を追加投入し、流通可能基準(400ベクレル未満)をさらに下回る300ベクレル程度の堆肥に加工。同市金成の実験施設近くで行う野菜の栽培実験に利用し、放射性物質の蓄積などを検証する。

施設であった中間結果の報告会には地元住民ら約80人が参加。実証実験のアドバイザーを務める京大の松井三郎名誉教授(環境工学)は「微生物がうまく作用し、想像以上に牧草が減った。分析が進めば焼却に頼らない低濃度汚染物の処理が期待できる」と話した。ただ、大量の微生物や牛ふんなどの確保のほか、堆肥の利用が進むかなど課題も残る。

市によると、市内の8000ベクレル以下の汚染牧草は2592トンで、農家225戸が保管。基準値以下の汚染廃棄物を巡っては、宮城県内では仙台市と利府町が焼却処分を実施した。

中間結果を公表した報告会では、堆肥化された牧草(手前)と汚染牧草を比較した


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