2016/07/18

保養キャンプ続けたい でも 福島事故から5年/石川

2016年7月18日 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2016071802100021.html

県内団体 補助金終了、細る寄付

福島第一原発の事故から五年が過ぎ、福島県内の親子らを招いて石川県内のボランティア団体が地元で催している「保養キャンプ」が岐路に立たされている。唯一、財政支援していた金沢市の補助金が打ち切られ、寄付金も集まりにくい状態。存続に向けた手探りが続く。(岡本真穂)

キャンプを楽しむ子どもら=2014年夏、石川県能登町で(FKキッズ提供)

保養キャンプを運営する団体の代表者が集う「3・11こども石川ねっと」が五月中旬に開いた勉強会。集まった各団体の八人の表情はどこか沈んでいた。

「企画、計画する側に疲れが出てきたようだ。金沢市の補助金も三月で打ち切りだし」。ふくしまっ子チャレンジスクール(金沢市)の代表岩井繁樹さんが語ると、NPO法人おとぎの杜の出口威さんも「交通費が負担。バスをチャーターするのは寄付だけじゃ難しい」と応じた。

中止になったのは金沢市の復興支援子ども交流事業。八十万円を上限に活動費の三分の二を補えたが、復興庁の「集中復興期間」が三月末に終わったのに合わせ、取りやめに。福島県の補助金も申請基準が厳しくなり追い打ちを掛けた。

一般からの寄付も集まりにくい。市民グループ「能登保養PROJECT」では、個人寄付が一昨年の三分の二に。今年五月のキャンプの費用は寄付で賄いきれず、赤字に。準備の負担が大きいこともあり、今夏のキャンプは中止になった。

活動方針に悩む団体も。能登地方や金沢で保養キャンプを開いてきたFKキッズ(金沢市)代表の枡野正博さんは「もう寄付を募って保養キャンプに招くのでなく、普通の子どもと同じように、費用を払うキャンプに参加してもらえばいいのでは」と思い始めた。「福島の子どもがたくましくなった」との声が上がったからだ。しかし、今夏は若手スタッフが中心になり規模を小さくして開くことにした。

「石川ねっと」のまとめによると、キャンプを取りやめた団体がある一方で、新たに始める団体もあり、今夏は昨年と同数の七団体がキャンプを開く予定。

「キャンプの中で保護者の悩みを聞くと、まだまだキャンプの必要性を実感する」。そんな意見は根強い。石川ねっとの代表も務める岩井さんは「参加者の心の傷がまだ癒えていないから続けなくては。キャンプを開くことで、放射能の問題を風化させないようにしたいという思いもある」と話している。

保養キャンプ
放射能の影響を気にせず、福島県内の親子らに海や山で遊んだり、地元住民と交流したりしてのびのびと過ごしてもらう。全国のボランティア団体などが募っている。費用は人数、期間によるが、50万~70万円という。

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