2016年7月18日 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04969910Y6A710C1CR8000/
東京電力福島第1原発事故による避難区域のうち、最も放射線量が高い帰還困難区域について、政府が一部を解除する方針を固めたことが17日、政府関係者への取材で分かった。解除方針が決まるのは初めて。除染やインフラ整備を2017年度から本格化させ、21年度をめどに徐々に解除する見通しだが、対象は役場や駅周辺など限定的な場所になるとみられる。
帰還困難区域(対象約9千世帯、約2万4千人)は放射線量が年間50ミリシーベルトを超える地域で、立ち入りが原則禁止されている。面積は約337平方キロ。政府・与党は、第1原発がある福島県双葉町や大熊町など、帰還困難区域が設定されている7市町村と調整の上、解除を目指す地域を8月にも決定する。政府は区域見直しの考え方を今年夏までに示すとしていた。
政府・与党の方針では、除染により放射線量が居住できる基準(年間20ミリシーベルト以下)に下がりそうな地域のうち、住民や廃炉に携わる関係者が居住できる地点を「復興拠点」として整備する考え。7市町村の復興計画では、大熊町は役場周辺、富岡町は住宅街があり人口が多い「夜の森地区」、双葉町はJR双葉駅西側を町の拠点としたい意向で、こうした場所が復興拠点の候補に挙がっている。
政府は、復興拠点のインフラ整備などに必要な費用を来年度予算に盛り込む方針。
帰還困難区域の住民の多くは避難先で新居を買い求めるなどしており、解除で帰還が進むかは不透明だ。帰還困難区域を除く避難区域については、政府は復興方針で17年3月末までに解除するとしており、今月には福島県南相馬市の一部に出ていた避難指示を解除するなど、徐々に区域縮小が進んでいる。
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▼原発事故の避難区域 東京電力福島第1原発事故を受け、政府が福島県内の第1原発周辺の市町村で住民の立ち入りを制限した区域。放射線量の高さに応じて3種類あり、帰還困難区域のほかに、年間20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下の居住制限区域と、20ミリシーベルト以下の避難指示解除準備区域がある。復興庁が毎年実施している避難者への意向調査によると、帰還困難区域がある第1原発周辺4町では、戻りたいと希望しているのは1割強。〔共同〕
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