2015年8月11日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015081102000125.html
東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示区域に指定されている福島県の町村で、四月から改定された六十五歳以上の介護保険料が全国有数の高さとなっている。本紙が厚生労働省のデータをもとに分析した。長引く避難生活が心身に重い負担となり、避難先での介護サービスの利用が増えているためだ。避難区域の住民は国の特例措置で、保険料とサービス利用時の自己負担は原則全額免除されているが、今後、避難指示の解除などによって措置がなくなれば重い負担となる。
厚労省が、介護保険を運営する市区町村(一部は広域連合など)別にまとめた四月からの保険料を、中心価格である基準月額(全国平均は五千五百十四円)で比較すると、全国の上位二十自治体の中に福島県内の七町村が含まれる=表。
奥会津の三島町を除いて双葉、大熊、楢葉、浪江の四町と飯舘、葛尾両村が福島第一原発に近い避難区域。飯舘村の保険料は八千三円で全国二位の高さだ。六町村の前年度までの保険料は五千三百~六千五百円。伸び率は飯舘村で約四割に上る。
六十五歳以上の介護保険料は、市区町村が介護サービス業者に支払う費用を基に、市区町村内の六十五歳以上の人口などで割るなどして基準額が算定される。
保険料アップの理由について、避難区域の町村の介護保険担当者は「避難生活が四年以上になり、高齢者にとって心身の負担が増した結果、身体機能の衰えや認知症によって介護サービスを利用する人数、回数が増加したため」と口をそろえる。元は三世代、二世代同居が多かった地域なのに「避難生活でばらばらになり、高齢者の面倒を見る家族も少なくなった」(大熊町)、「耕す田畑とともに体を動かす機会も奪われ、心と体のダメージにつながっている」(楢葉町)との指摘もある。
保険料などの免除について、厚労省は「状況を見ながら、毎年継続かどうかを判断している」(介護保険計画課)という。これに対し、九月に避難指示が解除される楢葉町は「その後はどうなるのか」と不安を隠さない。飯舘村は「少ない年金から高い保険料を天引きできるのか。特例措置はぜひ続けてほしい」と訴えている。
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