2015/08/12

川内原発再稼働で 福島の避難者は…

(福一の事故後つくられた、原子力規制委員会の基準に照らして「世界一厳しい基準をクリアした」(安倍首相)という川内原発が再稼働されました。福一の事故の被害も、事故の原因すら明らかにされない中の再稼働には、被災者の中にも多くの疑問が湧いています。 子ども全国ネット)
2015年8月11日 日テレ
http://www.news24.jp/nnn/news8659038.html


きょう鹿児島県の川内原発が再稼働し、日本の原発が再び、動き出した。
その一方で、福島ではきょう、沿岸部での行方不明者の一斉捜索が行われた。
浪江町の請戸地区での一斉捜索には、ことし4月に警察学校に入校した初任科生を含む、警察官や消防隊員などおよそ280人が参加し、行方不明者の発見につながる遺留品などの捜索にあたった。

東日本大震災での津波による被災では依然、県内で200人の行方がわかっておらず、捜索活動が続けられている。

こうした中で再稼働したのが鹿児島県の川内原発1号機。
福島第一原発での事故を教訓に津波対策など新たに設けられた基準をクリアしたとしてきょうを迎えた。

遠く鹿児島での原発の再稼働のニュースを仮設住宅に住む人たちどのように見たのだろうか。
*大熊町熊町からの避難者
「賛成ではないけれども、もう少しやり方がわかるようなやり方があってもいいはずだな。ただね、日にちが悪いよね。きょうの日にちが。昨日か明日やるならまだしもきょうはやるべきではない。心情的にな、11日だから。月命日だから。こんな日にぶつけてくるのは思いやりがないんだ」

再稼働のニュースを複雑な思いで見る人もいる。
大熊町から避難する中野正彦さん67歳、自宅は福島第一原発から目と鼻の先で、依然は原発に資材を収める仕事をしていた。

*中野正彦さん(67)
「今の東電の第一原発の事故を踏まえてだな、それを反省として町民の生活の安心安全を担保してくれれば、いいのではないかなと思うけれど」

中野さんは仮設住宅での生活が長くなるにつれ、故郷に帰りたいと思いが徐々にあきらめに変わっていると話す。
「我々みたいなこんな悲惨な思いを、要するに二度とさせてほしくないということ。再稼働するのはいいけれども別に」

県内では、先月時点で10万8千人あまりがふるさとを離れた生活を送っている。



福島の避難住民ら「事故は人ごとか」「地域のため仕方ない」 


2015年8月12日 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO90439560S5A810C1CC1000/

東京電力福島第1原子力発電所事故で避難生活を余儀なくされている福島県の住民らからは、九州電力川内原発1号機の再稼働に懸念の声が多く上がる一方、一定の理解を示す意見も聞かれた。

「福島の事故は人ごとだったのか」。同県の双葉町から白河市に避難する男性(74)は肩を落とす。町の大半は放射線量の高い帰還困難区域で、昨秋の町民向け意向調査では2人に1人が「戻らない」と答えた。男性は「想定外の事故がまた起きれば古里が消えるかもしれない。そのリスクを背負うのか」と話す。

東京都江東区の国家公務員宿舎「東雲住宅」に浪江町から避難する主婦(39)も「苦しむのは福島で終わりにしてほしい。絶対に事故が起きないと断言できない限り、再稼働はしてほしくない」と涙ながらに訴えた。

一方、県沿岸部の浜通り地区で旅館業を営む男性(60)は「原発依存から地域経済が脱却するには時間がかかる。再稼働も仕方ないのではないか」。旅館は東電関係者が上得意だった。「表立っては言いにくいが、商工会でも福島第2原発(同県楢葉町)の再稼働を望む事業者は少なくない」と打ち明ける。

この日、国会周辺では抗議デモが行われた。東京都世田谷区の男性介護士(34)は「連日猛暑が続いているが電力不足の話は聞かない。動かす必要がどこにあるのか」。横浜市の主婦(66)は「福島の事故すら収束していないのに。市民の声は国会に全然届かない」と話した。


鹿児島・川内原発:1号機再稼働 福島の現実を見て 事故の避難者たちの話

2015年8月12日 毎日新聞http://mainichi.jp/shimen/news/20150812ddm041040181000c.html

福島第1原発事故から4年5カ月たった今も、約11万人が避難生活を強いられる中での再稼働に、避難者たちはやりきれなさをにじませた。

 ◇デメリットも真剣に考えて 東京都八王子市、主婦、渡辺睦子さん(68)
事故の直後に、福島県いわき市を離れて妹が暮らす東京都八王子市に夫と共に自主避難してきました。事故直後に言われた省エネなどはどこへ行ってしまったのでしょうか。政府は「避難者は最後の一人まで故郷に帰す」と言っていたはずですが、私たちも含め多くの人が帰還していません。自分たちの都合ばかり優先していませんか。原発のメリットだけでなく、デメリットも真剣に考えてほしい。
 

◇地元住民の声一番に聞くべきだ 神奈川県松田町、ともに町臨時職員の船迫(ふなば)誠一さん(55)=と妻一枝さん(53)
残念です。原発が稼働しなくても電気が足りていることは実証済みだと思います。事故のあった福島第1原発から8キロの福島県浪江町で暮らし、夫婦で和風レストランを切り盛りしていました。避難指示解除準備区域で、帰りたいけど帰れたとしても生活できるか不安が大きいです。福島の原発で「万が一」という事故が起きました。完全に帰れない町や村が今もあります。再稼働には地元住民の声を一番に聞くべきだったと考えています。
 

◇町の惨状、忘れてしまったのか 福岡県福津市、病院事務員、井戸川恒雄さん(55)
事故から1カ月後に福島県双葉町から義弟のいた福岡県に避難しました。もう再稼働するのですか。多くの町が無くなってしまった福島の惨状が、皆さんの頭に残っていないと感じます。コミュニティーを大切にしてきた人々が人生を壊されました。「絶対安全」という東電の説明が崩れたわけで、川内原発でも起こり得ます。でも多くの人は、万が一の場合、自分の町がなくなってしまうかもしれない、とは想像したくないのだと思います。


再稼働「なぜ月命日に」 福島県住民に怒り、悲しみ、失望

2015年8月12日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015081202000124.html

福島第一原発事故で避難生活を余儀なくされている福島県の住民からは「福島の深刻さを分かっていない」と事故再発を懸念する声が相次いだ。

「再稼働という事実だけでも胸が痛むのに、なぜあえて(震災の月命日の)十一日を選んだのか。怒りや悲しみ、失望の感情が渦巻いている」と話すのは、同県浪江町から避難し福島市で暮らす主婦金井春子さん(66)。

病気がちの夫を支えながらの避難生活は四年以上が経過したが、「心身ともに限界。他の人には同じ苦しみを味わってほしくない」と訴えた。

浪江町の馬場有町長は「福島の教訓が生かされておらず、残念だ」と語った。同町は第一原発が立地する双葉町に隣接し、事故当時、情報が十分に伝えられず、住民が無用に被ばくした。馬場町長は「事故があれば、影響は周辺自治体にも及ぶ。避難者の受け入れについて自治体間で協定を結ぶなど、われわれの経験を踏まえた議論がされたのか」と話した。

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