http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150830/CK2015083002000166.html
集会の前に行われたデモ行進。参加者は「断固反対」と声を合わせた=塩谷町で |
高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の処分場(長期管理施設)候補地に塩谷町が選ばれた問題で、29日に町内で大規模な反対集会を開いた町民たち。雨が降りしきる中、農家や高校生など、さまざまな立場の町民らが「塩谷町は屈しない」と声を上げ、候補地選定の白紙撤回を目指す決意を新たにした。 (大野暢子、中川耕平)
集会に先立ち、町中心部で行われたデモ行進には、住民ら約四百人(主催者発表)が参加。「子どもを守ろう」「負けるな塩谷」などと声を上げ、拳を突き上げて約八百メートルを行進した。
集会には、見形和久町長や国会議員らも出席。町内在住の高校三年古河悠佑(ふるかわゆうすけ)さん(17)が町の平和を願い、舞台上でギターの弾き語りを披露した。集会後、古河さんは「学校でも塩谷のことが話題になる。若者が処分場計画を知ることは大切だ」と訴えた。
同級生の斎藤勇気さん(18)は「高校生は大人と違い、率直に本心を言える立場だと思う。故郷の水を守ろうと自信を持って伝えたい」と語った。
若手農家として、反対運動の継続を呼び掛けた鈴木一裕(かずひろ)さん(38)は、県内の約百七十カ所で指定廃棄物が一時保管されている現状に触れ、「保管場所付近に住む人の気持ちも十分に分かる」と理解を示す一方で、「廃棄物が一カ所にまとまることで起こる風評被害が心配だ」と不安を語った。
国は栃木など五県に一カ所ずつ処分場を造る方針。現在の一時保管の状態では、竜巻などの自然災害への備えが十分でない上、保管者側の負担が大きいとして、各県に一カ所ずつ処分場を整備する方針を崩していない。
計三カ所の候補地が提示されている宮城県では、環境省が二十八日、候補地の一つの加美町(かみまち)へ調査に訪れたが、住民の抗議で撤退した。大幅に遅れている処分場計画を加速させようと、候補地への働き掛けを強めつつある国に対し、塩谷町でも不安が高まっている。
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