南相馬市は20日、福島第1原発事故で居住制限区域と避難指示解除準備区域に指定されている小高区全域と原町区の一部で今月31日から避難指示の解除に向けた「準備宿泊」が始まるのを前に、住民を対象にした復興状況の説明会を開いた。住民からは国の除染が遅れていることや、中間処理施設の整備の遅れなどで市内にある廃棄物の仮置き場が設置されたままの状態で長引くのではないかと心配する声が相次いだ。
環境省が説明会に提出した資料によると、同地域で除染が終了したのは6月末段階で全体の約19%。約3%だった今年3月末の時点からは進んだが、市が避難指示解除を目指す来年4月までの終了は依然厳しい状況だ。
環境省は、住宅地とその周辺については2016年3月末までに、その他の山間部については17年3月末までの除染終了に全力を挙げると説明。小高区の除染を実施していた業者が廃棄物を不法投棄した事件で指名停止になった経緯にも触れ、「監督態勢を強化しながら除染作業を粛々と進めていく」などと釈明した。
一方、31日から3カ月の期間で始まる準備宿泊については、政府の原子力災害現地対策本部の担当者が対象区域の住民約1万1900人を対象に20日から登録受け付けを始めたと説明。避難指示の解除については「(除染の進捗(しんちょく)状況やインフラ整備などの)現地の状況や地元との協議などを踏まえて時期を判断する」とし、期間終了後に機械的に避難指示を解除することはないと重ねて強調した。【大塚卓也】
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