2015年8月24日 NHKh
ttp://www.nhk.or.jp/tohoku-news/20150824/4101721.html
仙台市は、原発事故で発生した放射性物質の濃度が1キログラムあたり8000ベクレル以下の「農林業系廃棄物」について、24日から本格的に焼却して処理する作業を始めました。
東京電力福島第一原発の事故で発生した放射性物質を含む牧草やきのこの原木などのうち、放射性セシウムの濃度が1キログラムあたり8000ベクレル以下の「農林業系廃棄物」は、市町村などが一般のごみとして処理することが法律で定められています。
農林業系廃棄物をめぐっては、震災から4年以上が過ぎて各地で腐敗が進むなどして問題になっていますが、農家がおよそ530トン分を保管する仙台市は、「試験焼却の結果、安全性が確認された」などとして、24日から本格的に廃棄物の焼却作業を始めました。
仙台市青葉区の農家では、市から委託を受けた作業員が出て、およそ2トンの牧草ロールを解体してトラックに積み込み、周辺の放射線量の値を計りました。
市によりますと、作業の前と後で空気中の放射線量の値に特に変化はなかったということです。
その後、牧草は若林区のゴミ処理施設に運ばれ、トラックの荷台から次々に降ろされていました。
焼却作業は来年2月まで市内3か所のゴミ処理施設で行われ、3つの施設であわせて1日最大8.5トンを上限に一般のゴミに混ぜて焼却されます。
仙台市は、ゴミ処理施設から出る焼却灰や、施設周辺の放射線量の値を定期的に検査して、結果をホームページなどで公表することにしています。
仙台市農業振興課の佐々木孝弘課長は「農家が生産の支障になるので困っている現状があり、焼却処理を進めている。一方で、放射性物質に対する懸念があることも承知しており、検査の数値を知らせるなど市民の不安や懸念の払拭に努めたい」と話していました。
焼却が行われるのに先だって、ゴミ処理施設の周辺の住民への説明会が開かれ、市の担当者が焼却に理解を求めましたが、出席者からは安全性への懸念や不安の声が相次ぎました。説明会は、ゴミ処理施設の周辺に住む住民や農林業系廃棄物の焼却に反対する市民団体が開き、子どもを連れた母親やお年寄りなどおよそ50人が出席しました。
このなかで仙台市の担当者は先月行った試験焼却の際、空気中の放射線量や、灰の中の放射性物質の濃度は焼却の前と後でほとんど変わらなかったとする調査結果を説明しました。
その上で、「数値は国の基準を下回っており、安全の範囲内だと考えている」として、焼却を始めることに理解を求めました。
これに対し、出席者からは「きょうから始めるのに、きょう説明するのはおかしい」とか、「仮に事故や健康被害があった場合、誰が責任をとるのか。今からでもやめてほしい」など安全性への懸念や不安の声が相次ぎました。
市民団体の事務局長を務める広幡文さんは、「納得できない。工場の煙突から出てくるガスに放射性物質が含まれているのではないかという不安がぬぐえない。市は周辺住民の声を聞いて、しっかり説明してもらいたい」と話していました。
原発事故で発生した放射性物質の濃度が1キログラムあたり8000ベクレル以下の「農林業系廃棄物」は、ゴミ処理施設の周辺に住む住民の理解が得られないなどの理由から処理が進まず、保管の長期化によって腐敗が進んでいます。
環境省の調査によりますと、去年11月の時点で県内で「農林業系廃棄物」を保管している自治体は31市町村で、その量は4万7000トンあまりにのぼっています。
県によりますと、これまでに処理を完了させた自治体は利府町だけで、現在でもほとんどの自治体で処理が進まず、保管されたままになっているということです。
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