2015/08/11

栃木/久しぶりのあふれる笑顔 処分場候補 塩谷でウォーク

(子ども全国ネット主催、7/11のネットワークミーティングに参加報告くださった原発・放射能から子供を守る会・塩谷の岩間さんは、この処分場反対の運動が町ぐるみで広がっているのかを語ってくださいました。「出会った時が始まり」「一人の大きな一歩より、たとえ小さくてもみんなで一歩進むことがどれほど尊いか」という岩間さんの言葉に、会場中に共感が広がっていました。難しい局面はまだまだ続くと思いますが、今後もつながりながら、互いにエールを送っていきたいと思います。 子ども全国ネット)

2015年8月11日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150811/CK2015081102000157.html

尚仁沢湧水へ向かう山道のコース=塩谷町で 


















高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の処分場候補地となった塩谷(しおや)町で9日、町名にちなみ、40.8キロを歩く「しおや湧水の里ウォーク大会」が初めて催され、327人が夏空の下、給水を取りながら元気よく歩いた。開催の背景には、処分場問題に揺れる町で「大人が怒り、悲しむ姿ばかりを子どもたちに見せたくない」という声があったそうだ。大会に参加し、町民の思いについて考えた。 (大野暢子)

コースは旧玉生(たまにゅう)中学校を発着点に、処分場候補地や名水百選の「尚仁沢(しょうじんざわ)湧水」がある高原(たかはら)山麓の一帯。真夏の開催で、標高差約六百メートル、制限時間は九時間と、少々ハードな内容だが、県内外から二十~七十代の幅広い世代が集まった。

一斉に出発すると、まもなく青々とした山が眼前に迫り、「出発早々、こんなに自然が豊かとは」と驚く人も。最年長参加者の日光市の男性(76)は「最高のコース。目標は完歩です」と額の汗をぬぐった。

大会の特色の一つが、約十カ所の給水所で提供された食べ物。地元産キュウリや冷やしトマト、町の和菓子店の水ようかんなどが振る舞われた。自然豊かな町ならではの味覚の充実ぶりに、「全給水所の食を味わわないとね」と意気込む参加者もいた。

中盤を過ぎると、いよいよ尚仁沢湧水へ。少しひんやりとした森の奥に、こんこんと湧く源泉が現れた。参加者は神秘的な湧水の姿に見入り、水をくみ上げて渇いたのどを潤していた。

ゴールではスタッフや先着者が拍手で歓迎。足を引きずりながら到着し、感極まって涙ぐむ人もいた。運営を支えた町民ボランティアの数は百人超に上った。

主催者は、町の医師尾形新一郎さん(61)ら町内外の有志。チラシや完歩証をデザインした宇都宮市の画家北村公司さん(60)は、処分場問題を念頭に「疲弊し、消耗するだけの活動は長続きしない」と心情を語る。

処分場問題の先行きは見通せず、建設計画に反対する塩谷町の試練は続く。ただ、約一年前に町が候補地に選ばれて以来、これほど地域が笑顔であふれた日はあっただろうか。沿道に立ち、参加者に「頑張って」と一生懸命に手を振っていた子どもたちの姿が、忘れられない一場面となった。

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