高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の処分場(長期管理施設)をめぐり、井上信治環境副大臣は三十日、塩谷町にある候補地が九月に受けた豪雨被害について、一部が冠水したことをあらためて認めた一方、「流入した水の勢いは強くなかった」との調査結果を発表した。現行の処分場計画は見直さない考えで、見形和久町長が掲げている候補地の「返上」を「受け入れようがない」と批判した。 (大野暢子)
塩谷町は、九月の記録的豪雨で候補地に土砂が流れ込んだとして、「明らかに不適地だ」と国に主張。国は十月、町の立ち会いの下、現地を目視で調査した。
この日、環境省で会見した井上氏の報告によると、候補地付近の川に沿った長さ約百メートル、幅二十~三十メートルの範囲で冠水の形跡があった。ただ、堆積した土砂の性質から、候補地へ勢いよく雨水が流れ込んだ可能性は否定。大規模な土石流の影響を受けやすい場所ではないと結論づけた。
井上氏は「大雨の影響を正確に把握するためには、測量や踏査などのさらなる調査が必要だ」とも説明。塩谷町が反対している候補地の詳細調査が不可欠だとの見方を重ねて示した。
見形町長が十一月二十日、豪雨被害を町民に報告した場で、「候補地を返上する」と表明したことに対しては、「詳細調査を受け入れていない段階で返上と主張されても理解しがたい」と反論。「詳細調査は、あらかじめ処分場を建設すると決めて実施するものではない」との見解も伝えた。
また、環境省は、これまで町の全世帯へ計二回郵送し、町が抗議していた処分場計画のダイレクトメールについて、「地元説明会を開催できるまで継続したい」との意向を伝えた。
国の対応を受け、塩谷町の担当者は「詳細調査は建設ありきで実施しない、と今ごろ言われても信頼できない。ここまで町の信用を失わせたのは誰なのか考えて」と失望をあらわにした。
塩谷町の処分場候補地が冠水したことを認める一方、 計画を見直す必要性はないとした井上環境副大臣 =東京・霞が関で |
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