2015/12/07

文学賞のアレクシエービッチさん 来春、福島訪問へ

2015年12月7日  東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201512/CK2015120702000127.html

【ストックホルム=共同】
今年のノーベル文学賞を受けるベラルーシの女性作家スベトラーナ・アレクシエービッチさん(67)が六日、授賞式を前にストックホルムで記者会見した。東京電力福島第一原発事故について「チェルノブイリ事故以上に原子力エネルギーの危険性を世界に示した」と強調し、来年春に福島を訪問する意向を示した。

訪日は自らの著書の出版に関連したもので、福島原発の近くや大学で行事に出席するという。

アレクシエービッチさんは、チェルノブイリ原発事故で被害を受けた人々の証言を集めたノンフィクション作品「チェルノブイリの祈り」で知られる。会見では、チェルノブイリと同様、福島の事故でも、住民らを「政府が欺いた」と訴えた。また、別のエネルギー源を開発する必要があると呼び掛けた。

さらに、二〇〇三年に北海道電力泊原発を訪れた際、「ここではチェルノブイリのような事故はあり得ない」との説明を受けたことを紹介。人間の想定を超える自然災害の恐ろしさを指摘した。

かつて発禁などの憂き目に遭い、祖国ベラルーシやロシアで受賞を歓迎しない声があることに対しては「気にしていない」と説明。ロシアのプーチン大統領を「独裁的」と批判したことがロシア国民や大統領の顔に泥を塗ったとして「人民の敵」とも呼ばれるが、自分は「真実を追い求めているだけだ」と反論した。

アレクシエービッチさんは新聞や文芸誌の記者出身。スウェーデン・アカデミーは授賞理由で「多様な声を集めた著作は、苦しみと勇気の記念碑だ」と称賛した。

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