2015/12/07

GREENPEACEより/「12/5 原発事故被害者の切り捨てを許さない東京集会」

事故から5年、今こそあなたの力が必要です
被害者の方の声をお届けします


2015年12月7日 グリンピース
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/5125/blog/55002/
 

こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。

東京電力福島第一原発事故から、もうすぐ5年。
いまだに10万人以上が避難生活を強いられています。
国は、避難区域を次々に解除し、賠償も打ち切っていく方針を発表しています。

グリーンピースの調査では、避難が解除された地域でも放射能汚染が残っていたり、除染が完了したと言われるところでも再汚染が起こっていることも明らかになっています。最新調査報告は
こちら

賠償が打ち切られるならば、汚染地に帰るより他ない、という避難者も多く、この政策は人道的にも問題があります。

こうした状況に対し、今、原発事故被害者の方自らが立ち上がっています。

今年5月14日、「原発事故被害者団体連絡会」、通称「ひだんれん」が、10月29日には「『避難の権利』を求める全国避難者の会」が設立されました。 

このような原発事故被害者団体とつながり、具体的に早期帰還、賠償・支援打ち切りをさせない動きをつくるために、グリーンピースも参加している「原発事故被害者の救済を求める全国運動」が12月5日、「12/5原発事故被害者の切り捨てを許さない東京集会」を開きました。

160人が参加し、原発事故当事者の声に耳を傾けました。当日登壇したみなさんの言葉を、ご紹介します。

( *配布資料は「原発事故被害者の救済を求める全国運動」にアップされています)

「原発事故をなかったことにしたいのは、私たち被害者のほうだ」 


以下、郡山から静岡に避難をした長谷川克己さんのお話より:

この4年9か月、国の対応は理不尽なことばかり。
なぜ、日本政府は、避難指示を30キロ圏内にとどめたのか。
なぜ、日本政府は、年間1ミリシーベルトの被ばく基準を20倍に引きあげたのか。
なぜ、日本政府は、子どもや妊婦を避難させなかったのか。
なぜ、日本政府は、今も事故前よりも明らかに高い放射線量の高い地域に人々を戻そうとするのか。
そして、自分の子どもを自分で守るため、事故から5カ月の政府の復興キャンペーンの中、福島を離れた。
行政がこの4年間やってきたことは、まるで原発事故などなかったと錯覚させるようなことだ。
しかし、この原発事故をなかったことにしたいのは、私たちの方だ。
我が子に大量の被ばくをさせてしまったことをなかったことにしたい。
ふるさとが、放射性物質で汚されたことをなかったことにしたい。
現実を直視し、真実を明らかにし、今からでもできる最善の処置を施していくことが、親として、この時代を生きる大人の責任と思っている。
声をあげれば波風が立つ。それでもやらねばならないことがある。
避難者当事者団体の設立がそれだが、当事者は各地に散らばっている、日々の暮らしに埋没しているなどの理由でなかなかできなかった。
その中、国が「基本的には帰っていただきたい。期日を示すことで促進したい」と宣言をした。これが私の背中を押した。
自分たちの権利は、自分たちで勝ち取るしかない。
自分たちの行動の結果は、子どもたちに引き継がれ、福島に残る同胞への支援となり、全国各地で闘う人々への勇気につながる。


「国は一方的。沖縄と同じ構図」


以下、南相馬市在住 小澤洋一さんのお話しより:

自宅は原発から22キロ。車で1時間 かかるが、3月14日の3号機爆発のときは、この世の終わりか、という音を聞いた。
6月になって、ヨウ素がなくなる頃、国がモニタリングにやってきて、局地的に線量の高いところを避難を勧奨する地点に指定した。
現在では解除されている。解除の理由は、年間20ミリシーベルト以下であり、健康被害は予測されないため。
一方的で沖縄と同じ構図。
今、国を相手取って、避難区域解除撤回のために裁判を起こしている。


「すべての権利は、勝ち取られたもの。事実を積み重ね、声をあげていこう」
大城聡弁護士「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)」

以下、大城聡弁護士(福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク:SAFLAN)の講演より:
原発事故以降、避難者からの法律相談を受けてきた。
損害賠償は、事故と因果関係があれば、避難指示のありなしに関わらず東京電力により賠償されるべきだが、それが知られておらず、国も正式には認めていない。
「子ども・被災者支援法」は、避難する権利・戻っても留まっても被ばくを避ける権利を認める素晴らしい法律だが、全く具体化していない。
「原発避難白書」を作ったのは、被害の実態を明らかにするため。
白書は、国が政策を決めるときに、必要なデータや統計をまとめたもの。
だから本来は国がつくるもの。しかし、それがやられていない。なぜか。
被害を明らかにする意味は2つ。
— 被害がわかってはじめて適切な補償・支援ができる。
— 被害を隠すこと、被害を小さく見せようとすることは許されないから。
今、国は原発事故被害者の定義さえ定めていない。しかし、定義がないと原発事故被害者の数がわからず、数がわからなければ適切な支援はできない。
受けられる支援は、避難元の状況(避難指示の有無など)、避難先の状況(全都道府県にわたる)による。
「原発避難白書」では白書では事実を積み上げ、被害の可視化をはかった。
また、当事者から話しを聞いた。
<詳しくはぜひ、「
原発避難白書」をごらんください>



避難者が住宅支援の延長を要望していた矢先に福島県は支援打ち切りを発表した。

心配なのは、復興庁が2020年度末までに廃止されること。自然災害であれば、10年問題を解決して解散するのはあるべき姿かもしれないが、原発事故では、放射能の半減期で考えても、10年で解散はおかしい。

必要なのは、「被ばくを避ける権利」。「子ども・被災者支援法」はまだ、存在している。この法律を柱にして、具体的支援をさせなければいけない。

ただ、「子ども・被災者支援法」は東京電力福島原発事故を対象にしており、次の事故が起こったさいの「支援法」はない。

イェーリングの「権利のための闘争」には、こう書いてある。

「世界中、すべての権利は、闘いとられたものである。権利は、単なる思想ではなく、生き生きした力なのである。だからこそ、片手に権利をはかるための秤を持つ正義の女神は、もう一方の手で権利を貫くための剣を握っているのだ。

秤をともなわない剣は裸の実力を、剣をともなわない秤は権利の無力を意味する。二つの要素が表裏一体をなすべきものであり、正義の女神が剣をとる力と秤をあやつる技とのバランスがとれている場合のみ、完全な権利が実現される」

これを私たちの運動で言えば、一つは事実を積み重ねること、もう一つは、当事者が語ること。その声を公的な政策に結び付けていくために、いろいろな立場の方がつながり、大きな力としていこう。


深刻化する福島の子どもたちの甲状腺ガンと求められる市民側での対応


以下、満田夏花さん(国際環境NGO FoE Japan)の報告より:

福島の子どもたち、甲状腺ガン、または疑いは152人となっている。政府は「スクリーニング効果」と言っているが、国の部会でも、「多発」とされている。また、症例は深刻だ。
診断の受診率をあげ、県外へも拡大し、また、甲状腺がん以外の疾病に対応させていくことが必要。
健康問題に関しては、科学的知見は無視され、議論・報道がタブー視されている。
市民が冷静に情報を発信し、きちんと報道させていこう。


脱原発運動、反貧困運動とつながろう

原発事故被害者の権利のための運動は、次の被害者を生み出さないために脱原発運動とつながり、また、支援打ち切りのために被害者が貧困を余儀なくされている現状を打開するために反貧困の運動とつながっていく必要があります。今回は、その趣旨から、「さようなら原発1000万人署名市民の会」から鎌田慧さん、「反貧困ネットワーク」から宇都宮健児さんにもご参加いただきました。

鎌田慧さんは、原発をなくす運動をやっているが、前に向かっての運動で、後ろをなかなか振り向かない、これを反省している。どうしたら原発をなくす運動が、原発事故被害者の運動といっしょにできるか考えたくてここにきたとお話しされました。

宇都宮健児さんは、生活保護を受けていた避難者の子どもが、奨学金をもらったら、生活保護から奨学金分を差し引かれた、また、義援金も生活保護から差し引かれた例を話され、社会保障を減らし、消費税を上げ、復興法人税を前倒しで廃止した安倍政権を批判しました。


原発事故被害者の切り捨て政策を変えるために、あなたにできること

最後に、主催団体の事務局であるパルシステム連合会の瀬戸大作さんが
当面の行動提起(集会宣言)をしました。


その中でとくに具体的なのが、来年7月に実施される参議院選挙に向けて、各政党、議員候補者に働きかけ、マニフェスト(選挙公約)に原発事故被害者支援を盛り込んでいくことです。

この報告を読んでくださっているあなたにも、「マニフェストに、原発事故被害者支援を書き込んでください」と政党や候補者に働きかけてくださることをよびかけます。(やり方は、
こちらを参考にしてください)

* 当日の映像を三輪祐児さんのyoutubeで視聴することができます。資料もご覧になれます。
 
前半
 後半

*配布資料は「原発事故被害者の救済を求める全国運動」にアップされています。

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