http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160206-047891.php
南相馬と相馬両市民を対象に、東京電力福島第1原発事故前後で慢性疾患の割合を比較し、糖尿病と高脂血症の発症が事故前より高くなったとの研究を日英の研究者がまとめた。避難した人の糖尿病の発症割合は事故前の約1.6倍となった。研究チームは「人間関係や仕事など生活環境の変化が影響している可能性がある」と分析している。
英国インペリアル・カレッジ・ロンドン公衆衛生大学院の野村周平氏らの研究チームが5日、英医学誌「BMJオープン」のオンライン版に発表した。
原発事故前後の2008~14年に特定健康診断(対象は40~74歳)を受診した2市の6406人のデータを分析した。事故当時避難区域に住み、現在も避難している人のグループと、避難していない人(事故後一時的に避難した人を含む)の2グループに分けた。健診の採血結果や投薬を受けているかどうかで疾患の有無を調べた。
糖尿病は避難者で13年以降、約1.6倍に増え、避難していない人も約1.3倍に増えた。高脂血症は避難者で事故翌年の12年以降に上昇、14年は事故前の1.2倍になった。避難しなかった人も13年以降に増加した。一方、高血圧は事故前後で大きな変化はなかった。
研究チームの一人で南相馬市立総合病院などに勤務する坪倉正治医師は、発症割合の上昇について「避難生活を強いられたことが関係しているほか、避難しなくても働く場所が変わったなど生活の変化が影響している可能性がある。住民の慢性疾患を長期的にみていく必要がある」と述べた。
原発事故後慢性疾患増 相馬、南相馬
2016年2月6日 福島民報http://www.minpo.jp/news/detail/2016020628634
相馬中央病院の森田知宏医師、南相馬市立総合病院の坪倉正治医師、尾崎章彦医師らの研究チームは5日、東京電力福島第一原発事故前後の相馬、南相馬両市民の慢性疾患発症の変化について研究結果を公表した。避難の有無にかかわらず、事故後に糖尿病、高脂血症の患者が増えている現状が明らかになった。
事故前、事故後にそれぞれ1回以上特定健康診断を受診した両市民(40~74歳)計6406人を対象に、避難区域内の住民と区域外の住民のグループに分けて分析した。
事故後3年間(平成24~26年)の慢性疾患の発症割合を事故前3年間(20~22年)と比べた値は【表】の通り。事故前3年間の平均値に対し、区域内の住民は糖尿病が1・21~1・60倍、高脂血症は1・16~1・30倍に増加。区域外の住民は糖尿病が1・11~1・33倍、高脂血症が1・03~1・14倍に増えていた。増加率は避難区域内の方が区域外より高い傾向にある。
研究結果を受け、坪倉医師は上昇の原因については「現時点では、生活習慣の変化や社会状況、環境の変化という表現をせざるを得ない」と説明し、「災害後は長期的な慢性疾患の管理が重要」と述べた。
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