2016/02/04

汚染ごみ地元処理可能に 環境省、基準下回れば指定解除

2016年2月4日 朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASJ227DW7J22ULBJ01N.html?rm=341

東京電力福島第一原発事故で出た放射性物質で汚染されたごみの焼却灰や稲わらなど国が処分する「指定廃棄物」について環境省は、放射性物質濃度が基準を下回ったものは国の指定を解除する手続きをまとめた。解除すれば、自治体は埋め立てるなどの処分ができるようになる。4日、関係自治体に伝える。

自前の廃棄物処分場などがある自治体では、汚染ごみの処分が進む可能性がでてきた。一方、国の集約や処分を望んでいた自治体の反発が予想される。

指定廃棄物は昨年末時点で、12都県で計約17万トンが保管されている。宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の6県では、環境省が各県ごとに1カ所の処分場に集める方針を示していた。ただ、福島県以外では処分場の候補地などの反対で処分先が決まらず、見通しが立っていない。

一方で、震災から約5年が経ち、放射性物質濃度が下がっている汚染ごみがあるとみられる。解除手続きでは、濃度が指定基準を下回っていることを確認した上で、保管されている自治体などと協議する。国は一方的に解除しないが、協議の呼びかけは自治体側からだけでなく、国側からもできるようにする。解除後に自治体が処分する場合、費用は国が負担する方針だ。

環境省はまた、茨城県に対しては、汚染ごみをそのまま現在の保管場所に置き続けることを認める考えを4日に示した。保管を続ける場合は、国が漏出防止策などを強化する。環境省は、1カ所に集めて国が処分する計画にこだわらず、濃度が下がるまで保管を続けてから自治体が処分できるようにする。(小坪遊)

     ◇

〈指定廃棄物〉 原発事故で出た放射性物質で汚染されたごみのうち、放射性セシウムの濃度が1キロあたり8千ベクレルを超えるものを、自治体の申請に基づき環境相が指定する。除染廃棄物とは別で、家庭ごみの焼却灰、下水汚泥、稲わらなどがある。1キロあたり8千ベクレルは、廃棄物を扱う作業員の被曝(ひばく)線量が年1ミリシーベルトを超えない水準。セシウム134の半減期は2年、セシウム137は30年で、廃棄物の濃度は徐々に下がっていく。

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