2016年2月16日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160216/ddl/k07/040/123000c
南相馬市の避難指示解除に向けた除染のあり方を議論していた市の除染推進委員会(委員長、児玉龍彦・東大教授)は15日、国による除染の効果を認め、「強制的に避難をさせる状況ではない」とする報告書案を公表した。近く正式な報告書を取りまとめ、市は報告書を参考に避難指示解除時期を検討する。
同市は市内の居住制限区域と避難指示解除準備区域について、今年4月の避難指示解除を目標としている。今回の報告書案は、両区域の住居や農地、学校などの除染について「効果はおおむね維持されている」と評価。飲料水についても水道水、井戸水ともに放射性物質のモニタリング検査の結果安全が確認されたとして、両区域とも「住民が居住できる環境にある」とした。
委員会は会議に先立ち、居住制限区域の小高区川房地区を視察。環境省や市の担当者の案内で住宅2軒を回り、1軒目の住宅では毎時101マイクロシーベルトだった玄関前の地表1センチ地点の放射線量が除染の結果、同4・3マイクロシーベルトに下がったことを確認した。ただ、庭に防風林がある住宅では庭先の放射線量が比較的高いままで、除染の効果が不十分なことも分かった。
委員らは「森林の影響であることは明らか」とし、最終報告書では、生活圏に近い森林や除染方針が示されていない帰還困難区域でも、国が適切な除染方法を確立すべきだとする内容を盛り込むことに決めた。
児玉委員長は「避難指示解除が妥当だとしても、そこで住民が安心して暮らせるかは別。国は解除後も原発事故前の環境に近づける努力をすべきだ」と述べた。【喜浦遊、大塚卓也】
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