2016/02/12

カードゲームで学ぶ放射線 京大助教監修「身を守る知識に」


2016年2月12日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160212/ddm/012/040/018000c

カードやボードゲームを制作、販売する「タンサンアンドカンパニー」(京都市)が、放射線について学ぶカードゲーム「ラドラボDr.ウーノの放射線研究所」を作った。監修を務めたのは、東京電力福島第1原発事故を受け、全国で子どもたちに放射線教育を実践する京都大放射性同位元素総合センターの角山雄一助教。福島県の子どもたちも体験し、遊びながら放射線の基礎知識が身につくと好評だ。

放射線の基礎知識を学ぶカードゲーム「ラドラボ」で遊ぶ福島県富岡町の子どもたち
=同県いわき市で、角山雄一さん提供

ゲームは、放射線の「アルファ線」「ベータ線」などを表したキャラクターが相手を攻撃するカードと、「紙」「水」などの防御カードで主に構成。細胞を意味する「サイボールカード」を巡り、プレーヤー2人が攻撃と防御を繰り返し、手元に残るサイボールの数を競う。例えば、物質中を通り抜ける力の弱いアルファ線のキャラ「アルファス」は紙1枚で止まるが、防御できなかった場合は手持ちのサイボール3枚が「オフ」に。ガンマ線の「ガンマー」を止めるには鉛がいるが、サイボールへの影響は1枚。種類で異なる放射線の性質を簡潔に表現した。

角山さんは「原発事故後、全国の学校などで放射線教育をする機会が増えたが、分かりやすい教材が不足していた」と発案理由を語る。「原発の廃炉や再稼働の問題は、子どもたちが大きくなってもあるだろう。放射線の基礎知識を身につけることは、将来の議論にきっと役立つ」。発案から約4年をかけ、完成した。

昨年末には、原発事故で全町避難が続く福島県富岡町が、町民向けに同県いわき市で開いた放射線の勉強会で小学生6人がゲームを体験。ゲーム後、角山さんが放射線について説明しようと「アルファ線」と言ったら、「紙で止まるやつ」と子どもから声が上がった。町の担当者は「事故で子どもたちにとって放射線は身近なものになってしまった。怖い、危ないでなくどんなものか知った上で身を守る判断をすることが大切」と話す。

ゲームは1個税別1800円。
問い合わせはタンサンアンドカンパニー(電話050・5539・8847)。【喜浦遊】

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