2016年2月18日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160218/k10010413931000.html
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島から京都などに自主避難した人たちが、避難生活で体調を崩し仕事ができなくなったなどとして、東京電力に賠償を求めた裁判で、京都地方裁判所は「自主避難のストレスが体調の悪化につながった」などとして、東京電力の責任を認め、およそ3000万円の支払いを命じました。
福島県に住んでいた男女5人は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、避難指示などの対象にはなっていませんでしたが、京都などに自主避難し、その後、不眠症やうつ病などで体調を崩し、仕事ができなくなったなどとして、東京電力におよそ1億8000万円の賠償を求めていました。
18日の判決で、京都地方裁判所の三木昌之裁判長は「原発事故は未曽有の事態であり、危険性に関する情報が十分に明らかになっていなかった間、自主避難を続けたことには合理性がある」と指摘しました。そのうえで、「住み慣れた福島県から転居を余儀なくされ、相当強いストレスを受けたことが、体調の悪化につながった」などとして、東京電力の責任を認め、およそ3000万円の支払いを命じました。
東京電力は「判決の内容を精査したうえで、引き続き真摯(しんし)に対応する」としています。
自主避難で東電に賠償命令 京都地裁、ADR提示上回る
2016年2月18日 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016021902000088.html
東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県から京都市内に自主避難した四十代の夫婦と子どもが、仕事を失った上、精神疾患を発症したとして、東電に計約一億八千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は十八日、夫婦への計約三千万円の支払いを命じた。
原告側の代理人によると、自主避難者に対する東電の賠償責任が認められた判決は初めてとみられる。
認容額は原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)で提示されていた約千百万円を上回った。原告側は「ADRでの提示額に納得いかなくとも諦める必要はないと判決が先鞭(せんべん)をつけた」と評価した。
判決によると、夫は会社を経営していたが、二〇一一年三月の原発事故を機に自主避難を開始。避難後に不眠症やうつ病になり、同五月ごろ、就労不能状態になった。
三木昌之裁判長は判決理由で「夫が発症した不眠症とうつ病は、原発事故が主な原因の一つ」と認定。夫婦がそれぞれ求めていた就労不能による損害についても事故との因果関係を認めた。その上で、夫婦の休業に伴う損害計約二千百万円や自主避難に伴う費用などを賠償すべきだとした。
転居や移動の費用、賃料なども一部を認容したが、避難前に住んでいた地域の放射線量などを基に、自主避難を続ける合理性があった時期は一二年八月末までとし、以降の分は退けた。
慰謝料の額は「住み慣れた福島県から地縁のない土地への転居を余儀なくされ、安定した生活が失われた」として、夫は百万円、妻は七十万円と判断。子どもは事故後、東電が既に支払った分以上の支払いを認めなかった。
判決後、原告は弁護士を通じて「当面の生活はできてほっとしたが、将来の生活の見通しは付かない」と心境を明らかにした。
福島県によると、昨年十月末時点で、避難区域外から県内外への自主避難者は推計で約七千世帯、約一万八千人。文部科学省によると、ADRは昨年末までに約一万八千件が申し立てられ、既に約一万三千件が和解した。
原告側の代理人によると、自主避難者に対する東電の賠償責任が認められた判決は初めてとみられる。
認容額は原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)で提示されていた約千百万円を上回った。原告側は「ADRでの提示額に納得いかなくとも諦める必要はないと判決が先鞭(せんべん)をつけた」と評価した。
判決によると、夫は会社を経営していたが、二〇一一年三月の原発事故を機に自主避難を開始。避難後に不眠症やうつ病になり、同五月ごろ、就労不能状態になった。
三木昌之裁判長は判決理由で「夫が発症した不眠症とうつ病は、原発事故が主な原因の一つ」と認定。夫婦がそれぞれ求めていた就労不能による損害についても事故との因果関係を認めた。その上で、夫婦の休業に伴う損害計約二千百万円や自主避難に伴う費用などを賠償すべきだとした。
転居や移動の費用、賃料なども一部を認容したが、避難前に住んでいた地域の放射線量などを基に、自主避難を続ける合理性があった時期は一二年八月末までとし、以降の分は退けた。
慰謝料の額は「住み慣れた福島県から地縁のない土地への転居を余儀なくされ、安定した生活が失われた」として、夫は百万円、妻は七十万円と判断。子どもは事故後、東電が既に支払った分以上の支払いを認めなかった。
判決後、原告は弁護士を通じて「当面の生活はできてほっとしたが、将来の生活の見通しは付かない」と心境を明らかにした。
福島県によると、昨年十月末時点で、避難区域外から県内外への自主避難者は推計で約七千世帯、約一万八千人。文部科学省によると、ADRは昨年末までに約一万八千件が申し立てられ、既に約一万三千件が和解した。
◆判決精査し対応
<東京電力の話> 今後は判決内容を精査し引き続き真摯(しんし)に対応していく。
<東京電力の話> 今後は判決内容を精査し引き続き真摯(しんし)に対応していく。
◆指針超えに意義
<立命館大法科大学院の吉村良一教授(環境法)の話> 原発事故の避難者に対し、東京電力はこれまで原子力損害賠償紛争審査会の中間指針で定められた金額しか賠償をしない姿勢を取ってきており、今回の判決が指針の範囲を超えて賠償を認めたことは大きな意義がある。
福島から自主避難、東電に3千万円賠償命じる 地裁判決
2016年2月18日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ2L53T6J2LPTIL018.html
東京電力福島第一原発事故の影響で心身に不調をきたし、仕事ができなくなったとして、福島県から京都市に自主避難した元会社経営者の40代男性と妻子4人が計約1億8千万円の損害賠償を東電に求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。三木昌之裁判長は、男性が事故で不眠症やうつ病を発症して就労不能になったと認定し、男性と妻に計3046万円を支払うよう東電に命じた。
東電や国に対する訴訟を支援している「原発事故全国弁護団連絡会」によると、避難者らが起こした集団訴訟は福島や東京、大阪など全国21地裁・支部(原告約1万人)で続いているが、自主避難者への賠償が裁判で認められたのは把握する限り初めてという。
判決によると、男性は2011年3月の事故当時、福島県内に家族と住み、飲食店運営会社を経営。自宅は避難指示区域の外側で、東電がのちに賠償対象とする自主避難区域にあった。男性は事故数日後に家族を連れ県外へ避難し、ホテルなどを転々とした末に同5月から京都市のマンションへ。そのころから不眠や心身の不調の症状が現れた。
男性は訴訟で、幼い子どもたちへの放射線被害を防ぐために故郷を捨てざるを得なくなり、心身の不調が今も続いて仕事ができないと主張。自主避難区域の住民らを対象とした東電の賠償の枠組み(大人12万円、妊婦・子ども64万~72万円)に沿い、13年に東電から一家で計292万円の賠償を得たものの、損害を償うには不十分と訴えた。
一方、東電側は「自主避難は漠然とした不安感に基づく任意の行動」として、賠償すべき範囲は避難指示区域の住民らより限定されると反論。男性の不調は避難先で新事業の立ち上げに失敗するなどの事情が影響し、事故との密接な関係はないと主張していた。
京都地裁は14年5月、今回の原告男性に月40万円を1年間にわたって仮払いするよう東電に命じる仮処分決定を出し、昨年5月と同11月にも仮払いの延長を命じていた。(米田優人)
自主避難で東電に賠償命令 京都、原発事故後初めて
2016年2月18日 福島民報
https://www.minpo.jp/globalnews/detail/2016021801001382
東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県から京都府内に自主避難した40代の夫婦と子どもが、仕事を失った上、精神疾患を発症したとして、東電に計約1億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(三木昌之裁判長)は18日、夫婦への計約3千万円の支払いを命じた。
原告側の代理人によると、自主避難で賠償責任が認められるのは初めてとみられる。
認容額は原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)で提示されていた約1100万円を上回った。原告側は「ADRでの提示額に納得いかなくとも諦める必要はないと判決が先鞭をつけた」と評価した。
原発事故自主避難 PTSD 東電に3000万円賠償命令
2016年2月18日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160218/k00/00e/040/238000c
東京電力福島第1原発事故で福島県郡山市から京都市に自主避難した40代男性とその家族5人が、避難生活で休業を余儀なくされ、男性が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症して働けなくなったなどとして、東電を相手取り計約1億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。三木昌之裁判長は請求を一部認め、計約3000万円の支払いを命じた。自主避難者への賠償が訴訟で認められたのは初めてとみられる。
自主避難 東電に初の賠償命令
毎日新聞2016年2月18日
<立命館大法科大学院の吉村良一教授(環境法)の話> 原発事故の避難者に対し、東京電力はこれまで原子力損害賠償紛争審査会の中間指針で定められた金額しか賠償をしない姿勢を取ってきており、今回の判決が指針の範囲を超えて賠償を認めたことは大きな意義がある。
福島から自主避難、東電に3千万円賠償命じる 地裁判決
2016年2月18日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ2L53T6J2LPTIL018.html
東京電力福島第一原発事故の影響で心身に不調をきたし、仕事ができなくなったとして、福島県から京都市に自主避難した元会社経営者の40代男性と妻子4人が計約1億8千万円の損害賠償を東電に求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。三木昌之裁判長は、男性が事故で不眠症やうつ病を発症して就労不能になったと認定し、男性と妻に計3046万円を支払うよう東電に命じた。
東電や国に対する訴訟を支援している「原発事故全国弁護団連絡会」によると、避難者らが起こした集団訴訟は福島や東京、大阪など全国21地裁・支部(原告約1万人)で続いているが、自主避難者への賠償が裁判で認められたのは把握する限り初めてという。
判決によると、男性は2011年3月の事故当時、福島県内に家族と住み、飲食店運営会社を経営。自宅は避難指示区域の外側で、東電がのちに賠償対象とする自主避難区域にあった。男性は事故数日後に家族を連れ県外へ避難し、ホテルなどを転々とした末に同5月から京都市のマンションへ。そのころから不眠や心身の不調の症状が現れた。
男性は訴訟で、幼い子どもたちへの放射線被害を防ぐために故郷を捨てざるを得なくなり、心身の不調が今も続いて仕事ができないと主張。自主避難区域の住民らを対象とした東電の賠償の枠組み(大人12万円、妊婦・子ども64万~72万円)に沿い、13年に東電から一家で計292万円の賠償を得たものの、損害を償うには不十分と訴えた。
一方、東電側は「自主避難は漠然とした不安感に基づく任意の行動」として、賠償すべき範囲は避難指示区域の住民らより限定されると反論。男性の不調は避難先で新事業の立ち上げに失敗するなどの事情が影響し、事故との密接な関係はないと主張していた。
京都地裁は14年5月、今回の原告男性に月40万円を1年間にわたって仮払いするよう東電に命じる仮処分決定を出し、昨年5月と同11月にも仮払いの延長を命じていた。(米田優人)
自主避難で東電に賠償命令 京都、原発事故後初めて
2016年2月18日 福島民報
https://www.minpo.jp/globalnews/detail/2016021801001382
東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県から京都府内に自主避難した40代の夫婦と子どもが、仕事を失った上、精神疾患を発症したとして、東電に計約1億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(三木昌之裁判長)は18日、夫婦への計約3千万円の支払いを命じた。
原告側の代理人によると、自主避難で賠償責任が認められるのは初めてとみられる。
認容額は原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)で提示されていた約1100万円を上回った。原告側は「ADRでの提示額に納得いかなくとも諦める必要はないと判決が先鞭をつけた」と評価した。
原発事故自主避難 PTSD 東電に3000万円賠償命令
2016年2月18日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160218/k00/00e/040/238000c
東京電力福島第1原発事故で福島県郡山市から京都市に自主避難した40代男性とその家族5人が、避難生活で休業を余儀なくされ、男性が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症して働けなくなったなどとして、東電を相手取り計約1億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。三木昌之裁判長は請求を一部認め、計約3000万円の支払いを命じた。自主避難者への賠償が訴訟で認められたのは初めてとみられる。
自主避難 東電に初の賠償命令
毎日新聞2016年2月18日
http://mainichi.jp/articles/20160218/k00/00e/040/238000c
京都地裁 「12年8月末まで」と3000万円支払い命令
東京電力福島第1原発事故(2011年3月)で福島県郡山市から京都市に自主避難した飲食店経営の40代男性と家族が、避難生活で休業を余儀なくされ、男性が精神疾患を発症して働けなくなったなどとして、東京電力を相手取り計約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。三木昌之裁判長は自主避難継続の合理性が認められる時期を「事故による危険性に関する情報が十分開示されていなかった12年8月末まで」とする初の司法判断を示し、計約3000万円の支払いを命じた。
原告側代理人の井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会)によると、自主避難者への賠償が訴訟で認められたのは初めてとみられる。原告は原発ADR(裁判外紛争解決手続き)で計約1100万円の賠償額を示されたが拒否して提訴。判決は、国の原子力損害賠償紛争審査会が賠償すべきだとして類型化した損害以外でも「個別的事情に応じて損害と認められる」と指摘、事故と精神疾患の因果関係を認めるなどした結果、認定額はADRを大きく上回った。避難者による集団訴訟が全国各地で起こされており、今回の判決が影響を与える可能性がある。
判決によると、男性は郡山市に住み複数の飲食店を経営。夫婦で月約160万円の収入があった。原発事故で男性は妊娠中の妻や幼い子どもへの影響などを懸念し、2日後に家族や従業員と避難。各地を経て11年5月に京都市に移った。男性は飲食店の役員を辞め、避難先でコンビニ店などを起業しようとしたが果たせず、不眠などを訴えて家にこもりがちになり、働けなくなった。
訴訟で原告側は「法令は公衆に年1ミリシーベルトを超える被ばくをさせないよう求めているが、郡山市の放射線量はそれを超えている」などと避難の必要性を主張した。これに対し、三木裁判長は、国際的に合意された科学的知見などを検討した結果として「年20ミリシーベルトを下回る被ばくが健康に被害を与えると認めるのは困難」と判断。「郡山市の線量は年20ミリシーベルトより低く、12年9月以降は、事故の危険性が残っているとか、情報開示が十分ではなかったとは認められない」と結論付けた。
一方、男性が11年5月に不眠症、その後はうつ病と診断され、今も症状が続いていることについて、避難との因果関係を一定程度認定。訴訟が結審した昨年11月までの間、男性が就労できなくなった損害の4割について東電の賠償責任を認めた。妻の休業損害は12年8月末までとした。また、事故で生じた精神的苦痛への慰謝料も男性で100万円、妻で70万円と算定した。関係者によると、この額はADRで通常認定される額より多いという。
原子力損害賠償紛争審査会は、避難指示が11年9月に解除された地域について、12年8月末までを目安に賠償の対象とするとの指針を示した。これを受けて東電は同年12月、自主避難者への賠償についても、同年8月末までとすると発表した。今回の判決は、国の指針や東電の決定を追認した形だ。
事故後、国は原発の半径20キロ圏内と放射線量が年20ミリシーベルト以上と見込まれる地域の住民に避難を指示。その外側の福島、郡山、いわき各市などから避難した人は自主避難者と位置づけられ、福島県によると約1万8000人と推定される。自主避難者に対しては東電が一定額を賠償しているほか、原発ADRでも賠償が認められている。【鈴木理之】
東京電力広報室のコメント 原発事故で広く社会の皆様にご迷惑をおかけしていることを改めておわび申し上げます。判決内容を精査し、引き続き真摯(しんし)に対応します。
京都地裁 「12年8月末まで」と3000万円支払い命令
東京電力福島第1原発事故(2011年3月)で福島県郡山市から京都市に自主避難した飲食店経営の40代男性と家族が、避難生活で休業を余儀なくされ、男性が精神疾患を発症して働けなくなったなどとして、東京電力を相手取り計約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。三木昌之裁判長は自主避難継続の合理性が認められる時期を「事故による危険性に関する情報が十分開示されていなかった12年8月末まで」とする初の司法判断を示し、計約3000万円の支払いを命じた。
原告側代理人の井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会)によると、自主避難者への賠償が訴訟で認められたのは初めてとみられる。原告は原発ADR(裁判外紛争解決手続き)で計約1100万円の賠償額を示されたが拒否して提訴。判決は、国の原子力損害賠償紛争審査会が賠償すべきだとして類型化した損害以外でも「個別的事情に応じて損害と認められる」と指摘、事故と精神疾患の因果関係を認めるなどした結果、認定額はADRを大きく上回った。避難者による集団訴訟が全国各地で起こされており、今回の判決が影響を与える可能性がある。
判決によると、男性は郡山市に住み複数の飲食店を経営。夫婦で月約160万円の収入があった。原発事故で男性は妊娠中の妻や幼い子どもへの影響などを懸念し、2日後に家族や従業員と避難。各地を経て11年5月に京都市に移った。男性は飲食店の役員を辞め、避難先でコンビニ店などを起業しようとしたが果たせず、不眠などを訴えて家にこもりがちになり、働けなくなった。
訴訟で原告側は「法令は公衆に年1ミリシーベルトを超える被ばくをさせないよう求めているが、郡山市の放射線量はそれを超えている」などと避難の必要性を主張した。これに対し、三木裁判長は、国際的に合意された科学的知見などを検討した結果として「年20ミリシーベルトを下回る被ばくが健康に被害を与えると認めるのは困難」と判断。「郡山市の線量は年20ミリシーベルトより低く、12年9月以降は、事故の危険性が残っているとか、情報開示が十分ではなかったとは認められない」と結論付けた。
一方、男性が11年5月に不眠症、その後はうつ病と診断され、今も症状が続いていることについて、避難との因果関係を一定程度認定。訴訟が結審した昨年11月までの間、男性が就労できなくなった損害の4割について東電の賠償責任を認めた。妻の休業損害は12年8月末までとした。また、事故で生じた精神的苦痛への慰謝料も男性で100万円、妻で70万円と算定した。関係者によると、この額はADRで通常認定される額より多いという。
原子力損害賠償紛争審査会は、避難指示が11年9月に解除された地域について、12年8月末までを目安に賠償の対象とするとの指針を示した。これを受けて東電は同年12月、自主避難者への賠償についても、同年8月末までとすると発表した。今回の判決は、国の指針や東電の決定を追認した形だ。
事故後、国は原発の半径20キロ圏内と放射線量が年20ミリシーベルト以上と見込まれる地域の住民に避難を指示。その外側の福島、郡山、いわき各市などから避難した人は自主避難者と位置づけられ、福島県によると約1万8000人と推定される。自主避難者に対しては東電が一定額を賠償しているほか、原発ADRでも賠償が認められている。【鈴木理之】
東京電力広報室のコメント 原発事故で広く社会の皆様にご迷惑をおかけしていることを改めておわび申し上げます。判決内容を精査し、引き続き真摯(しんし)に対応します。
原発事故自主避難訴訟判決(骨子)
・年20ミリシーベルトを下回る被ばくが健康被害を与えると認めるのは困難
・2012年9月以降、郡山市では年20ミリシーベルトを大きく下回り、自主避難を続ける合理性は認められない
・男性が発症した不眠症やうつ病は原発事故が原因の一つで、症状は現在も続き、休業損害が認められる
・妻は郡山への帰還が困難だった12年8月まで休業損害が認められる
原発事故で自主避難、東電に賠償命令…京都地裁
2016年2月18日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000303/20160218-OYT1T50070.html
東京電力福島第一原発事故で福島県内から京都市内に自主避難した40歳代の男性と家族計5人が東電に約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(三木昌之裁判長)は18日、男性と妻に約3000万円を支払うよう東電に命じた。
原発事故の自主避難者が東電に損害賠償を求めた訴訟は全国で起こされているが、賠償を認める判決は初めてとみられる。
訴状によると、男性らは国が定めた避難指示対象区域外に住んでいたが、原発事故の影響で別の市に避難した後、2011年5月に京都市内へ転居した。男性は仕事を失って収入がなくなり、同年11月には心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、働けなくなった。
男性らは、東電から自主避難者に対する一律の賠償金約300万円を受け取ったが、無収入で生活できないとして提訴後の13年12月、賠償金の仮払いとして月60万円を求める仮処分を申請。京都地裁は14年5月、原発事故と働けなくなったことの因果関係を認め、同月から1年間にわたり月40万円の仮払いを命じ、その後、今年4月まで延長された。
東電に3千万円賠償命令…自主避難の男性と妻に
・年20ミリシーベルトを下回る被ばくが健康被害を与えると認めるのは困難
・2012年9月以降、郡山市では年20ミリシーベルトを大きく下回り、自主避難を続ける合理性は認められない
・男性が発症した不眠症やうつ病は原発事故が原因の一つで、症状は現在も続き、休業損害が認められる
・妻は郡山への帰還が困難だった12年8月まで休業損害が認められる
原発事故で自主避難、東電に賠償命令…京都地裁
2016年2月18日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000303/20160218-OYT1T50070.html
東京電力福島第一原発事故で福島県内から京都市内に自主避難した40歳代の男性と家族計5人が東電に約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(三木昌之裁判長)は18日、男性と妻に約3000万円を支払うよう東電に命じた。
原発事故の自主避難者が東電に損害賠償を求めた訴訟は全国で起こされているが、賠償を認める判決は初めてとみられる。
訴状によると、男性らは国が定めた避難指示対象区域外に住んでいたが、原発事故の影響で別の市に避難した後、2011年5月に京都市内へ転居した。男性は仕事を失って収入がなくなり、同年11月には心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、働けなくなった。
男性らは、東電から自主避難者に対する一律の賠償金約300万円を受け取ったが、無収入で生活できないとして提訴後の13年12月、賠償金の仮払いとして月60万円を求める仮処分を申請。京都地裁は14年5月、原発事故と働けなくなったことの因果関係を認め、同月から1年間にわたり月40万円の仮払いを命じ、その後、今年4月まで延長された。
東電に3千万円賠償命令…自主避難の男性と妻に
2016年02月18日
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160218-OYT1T50070.html
東京電力福島第一原発事故で福島県から京都市に自主避難した40歳代男性と家族計5人が、東電に計約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は18日、男性と妻に計約3000万円を支払うよう東電に命じた。
三木昌之裁判長は、男性が原発事故を原因としてうつ病などの精神疾患を発症したとし、休業損害などを認定。「東電には個別事情に応じた賠償義務がある」と述べた。
避難者らの訴訟を支援する弁護団によると、避難者らが東電や国に損害賠償を求めた集団訴訟は少なくとも20地裁・支部で審理されており、原告は計約1万人。今回の原告代理人を務める井戸謙一弁護士によると、自主避難者に対する賠償を認めた判決は初めてとみられる。
判決によると、男性は妻や子どもと避難指示区域外に住み、会社を経営していたが、原発事故直後に福島県外へ避難し、その後、京都市内に転居。男性は無職になり、2011年5~9月、不眠症やうつ病と診断され、働けなくなった。
判決は、自主避難が相当だった期間として、家族が住んでいた地域の放射線量が被害のない程度になったという情報が開示される前の12年8月末までとし、この間の避難費などが賠償対象になると説明。さらに、男性は避難生活で精神疾患を発症し、就労不能になったとして、慰謝料や現在までの休業損害を認めた。
政府の原子力損害賠償紛争審査会は指針で自主避難者に対する賠償の根拠として〈1〉生活費の増加分〈2〉精神的苦痛への慰謝料〈3〉移動費用――を提示。男性らの自宅は東電が賠償金を支払う「自主的避難」対象区域にあり、東電は休業損害を含まない300万円を賠償したが、判決は「指針は一定の項目と範囲を示したにすぎず、指針対象外でも個別具体的な事情に応じ損害が認められる」と指摘した。
男性らは東電の賠償金を不十分として、政府の「原子力損害賠償紛争解決センター」に裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てたが、和解が不調に終わり、13年5月に提訴した。
京都地裁の別の裁判長は14年5月、生活維持のため賠償金の仮払いとして月40万円の支払いを東電に命じる仮処分を決定していた。
東電は「判決を精査し、対応を検討する」とするコメントを出した。
自主避難賠償命令 ADR上回る算定 「合理的期間」限定に不満も
毎日新聞 2016年2月19日 大阪朝刊
http://mainichi.jp/articles/20160219/ddn/012/040/040000c
東京電力福島第1原発事故を巡り、自主避難者に対する東電の賠償責任を初めて認めた18日の京都地裁判決。避難生活の中で精神疾患を発症した原告の個別 事情を一定程度踏まえ、原発ADR(裁判外紛争解決手続き)で示された額より多い賠償を命じた一方、自主避難の合理性を認める期間を限定する内容。自主避 難をしている人たちや関係者の受け止め方はさまざまだ。(1面参照)
「当面の生活ができてホッとしているが、夫が(精神疾患で)働けない状況でこの金額では将来の見通しが立たない」。判決後、原告側代理人の井戸謙一弁護士は記者会見し、男性の妻のコメントを紹介した。
井戸弁護士は2006年に志賀原発の運転差し止め判決(金沢地裁)を出した元裁判官。「主たる争点が認められ、評価できる判決だ。東京電力の低い賠償金で泣き寝入りする自主避難者もたくさんいる。個別に訴訟を起こすべきだ」と訴訟の意義を強調した。
関係者によると、これまで自主避難者が申し立てたADRの和解案では、東電や原子力損害賠償紛争審査会などが定めた賠償基準が高いハードルとなり、慰謝 料が大人1人で8万円しか認められず、自主避難者の就労不能期間についても「6カ月」が基準とされるなど、低い賠償水準が定着していたという。だが判決は 男性の慰謝料を100万円とした。
多くのADR申し立てを手掛ける秋山直人弁護士(第二東京弁護士会)は「基準に縛られずに個別事情を反映した、自主避難者に希望を与える判決だ」と評価 する。ADRに詳しい大阪市立大大学院の除本理史教授(環境政策論)は「国や東電が一度決めた基準を変えるとは考えにくいが、個別訴訟の判断を積み重ねる ことで、実質的に基準を変えるきっかけになる」と語った。
東京電力福島第一原発事故で福島県から京都市に自主避難した40歳代男性と家族計5人が、東電に計約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は18日、男性と妻に計約3000万円を支払うよう東電に命じた。
三木昌之裁判長は、男性が原発事故を原因としてうつ病などの精神疾患を発症したとし、休業損害などを認定。「東電には個別事情に応じた賠償義務がある」と述べた。
避難者らの訴訟を支援する弁護団によると、避難者らが東電や国に損害賠償を求めた集団訴訟は少なくとも20地裁・支部で審理されており、原告は計約1万人。今回の原告代理人を務める井戸謙一弁護士によると、自主避難者に対する賠償を認めた判決は初めてとみられる。
判決によると、男性は妻や子どもと避難指示区域外に住み、会社を経営していたが、原発事故直後に福島県外へ避難し、その後、京都市内に転居。男性は無職になり、2011年5~9月、不眠症やうつ病と診断され、働けなくなった。
判決は、自主避難が相当だった期間として、家族が住んでいた地域の放射線量が被害のない程度になったという情報が開示される前の12年8月末までとし、この間の避難費などが賠償対象になると説明。さらに、男性は避難生活で精神疾患を発症し、就労不能になったとして、慰謝料や現在までの休業損害を認めた。
政府の原子力損害賠償紛争審査会は指針で自主避難者に対する賠償の根拠として〈1〉生活費の増加分〈2〉精神的苦痛への慰謝料〈3〉移動費用――を提示。男性らの自宅は東電が賠償金を支払う「自主的避難」対象区域にあり、東電は休業損害を含まない300万円を賠償したが、判決は「指針は一定の項目と範囲を示したにすぎず、指針対象外でも個別具体的な事情に応じ損害が認められる」と指摘した。
男性らは東電の賠償金を不十分として、政府の「原子力損害賠償紛争解決センター」に裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てたが、和解が不調に終わり、13年5月に提訴した。
京都地裁の別の裁判長は14年5月、生活維持のため賠償金の仮払いとして月40万円の支払いを東電に命じる仮処分を決定していた。
東電は「判決を精査し、対応を検討する」とするコメントを出した。
自主避難賠償命令 ADR上回る算定 「合理的期間」限定に不満も
毎日新聞 2016年2月19日 大阪朝刊
http://mainichi.jp/articles/20160219/ddn/012/040/040000c
東京電力福島第1原発事故を巡り、自主避難者に対する東電の賠償責任を初めて認めた18日の京都地裁判決。避難生活の中で精神疾患を発症した原告の個別 事情を一定程度踏まえ、原発ADR(裁判外紛争解決手続き)で示された額より多い賠償を命じた一方、自主避難の合理性を認める期間を限定する内容。自主避 難をしている人たちや関係者の受け止め方はさまざまだ。(1面参照)
「当面の生活ができてホッとしているが、夫が(精神疾患で)働けない状況でこの金額では将来の見通しが立たない」。判決後、原告側代理人の井戸謙一弁護士は記者会見し、男性の妻のコメントを紹介した。
井戸弁護士は2006年に志賀原発の運転差し止め判決(金沢地裁)を出した元裁判官。「主たる争点が認められ、評価できる判決だ。東京電力の低い賠償金で泣き寝入りする自主避難者もたくさんいる。個別に訴訟を起こすべきだ」と訴訟の意義を強調した。
関係者によると、これまで自主避難者が申し立てたADRの和解案では、東電や原子力損害賠償紛争審査会などが定めた賠償基準が高いハードルとなり、慰謝 料が大人1人で8万円しか認められず、自主避難者の就労不能期間についても「6カ月」が基準とされるなど、低い賠償水準が定着していたという。だが判決は 男性の慰謝料を100万円とした。
多くのADR申し立てを手掛ける秋山直人弁護士(第二東京弁護士会)は「基準に縛られずに個別事情を反映した、自主避難者に希望を与える判決だ」と評価 する。ADRに詳しい大阪市立大大学院の除本理史教授(環境政策論)は「国や東電が一度決めた基準を変えるとは考えにくいが、個別訴訟の判断を積み重ねる ことで、実質的に基準を変えるきっかけになる」と語った。
原発事故で避難した人たちは全国各地で集団訴訟を起こしている。
「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」共同代表で、福島県郡山市から2人の子供と大阪市に避難した森松明希子さん(42)は「自主避難者の個別状況を判断 して、ADRを上回る賠償を命じたことは画期的。今後、多くの人が声を上げられるようになれば、より被害の実像が世間に明らかになる」と期待した。だが 「自主避難が合理的と認められる期間が2012年8月末まで」と限定されたことには「国の宣伝の受け売りで、おかしい。その日以降も被ばくに弱い子どもを 連れた多くの世帯が自主避難している。現実を全く見ていない」と不満を示した。
京都地裁で国や東電を相手取り集団訴訟を起こしている原告の一人で、同県いわき市から京都市伏見区に子供2人と避難する高木久美子さん(49)は東電か ら自主避難者に対する賠償金計約150万円を受け取ったが、すぐに底をついた。現在は市役所の嘱託職員として働き、何とか生計を立てている。「生活が苦し くても、放射能を心配して暮らすよりまし。国や東電は避難者の実態を理解すべきだ」と訴えた。【鈴木理之、川瀬慎一朗】
「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」共同代表で、福島県郡山市から2人の子供と大阪市に避難した森松明希子さん(42)は「自主避難者の個別状況を判断 して、ADRを上回る賠償を命じたことは画期的。今後、多くの人が声を上げられるようになれば、より被害の実像が世間に明らかになる」と期待した。だが 「自主避難が合理的と認められる期間が2012年8月末まで」と限定されたことには「国の宣伝の受け売りで、おかしい。その日以降も被ばくに弱い子どもを 連れた多くの世帯が自主避難している。現実を全く見ていない」と不満を示した。
京都地裁で国や東電を相手取り集団訴訟を起こしている原告の一人で、同県いわき市から京都市伏見区に子供2人と避難する高木久美子さん(49)は東電か ら自主避難者に対する賠償金計約150万円を受け取ったが、すぐに底をついた。現在は市役所の嘱託職員として働き、何とか生計を立てている。「生活が苦し くても、放射能を心配して暮らすよりまし。国や東電は避難者の実態を理解すべきだ」と訴えた。【鈴木理之、川瀬慎一朗】
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