http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016020401001566.html
環境省は4日、東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物に関し、放射性セシウム濃度が基準より低下し、線量が減少した場合は一般ごみと同様の処分を認める新ルールを初めて提示した。指定解除は国と自治体が協議して決め、解除後は自治体が通常の廃棄物として処分できるようになる。費用は指定廃棄物と同様、国が負担する。
環境省が水戸市で開いた茨城県内14市町の首長会議で示した。今後、指定廃棄物の保管量が比較的多い宮城、栃木、群馬、千葉の4県などとの協議を経て正式決定する。
放射性セシウムの濃度が8千ベクレルを超え、環境相が指定した廃棄物は、国が責任を持って処分する。
指定廃棄物 新ルールで処理を加速したい
2016年02月06日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160205-OYT1T50139.html放射能の汚染レベルが比較的低い廃棄物の処分を加速したい。
東京電力福島第一原子力発電所事故により汚染された「指定廃棄物」のうち、放射性物質の濃度が基準を下回ったものについては、指定を解除できる新ルール案を環境省がようやく示した。
今後、省令を改正する。
指定廃棄物は、放射性物質濃度が1キロ・グラムあたり8000ベクレルを超えるものが対象だ。牧草や稲わら、ごみの焼却灰、下水汚泥などがあり、関東、東北を中心に12都県で約17万トンが保管されている。
放射性物質は、時間の経過とともに壊れて消滅する。「セシウム134」の場合、約2年で半減するとされる。
これまで指定解除の規定はなかったが、放射能の汚染度が減じた廃棄物を必要以上に厳重に管理するのは現実的ではない。ルール改正は妥当な判断だ。
指定解除により、一般ごみと同様に埋設や焼却処分が可能になる。処理費用は国が負担する。
保管費用の軽減や、風評被害の防止などに役立つだろう。
新たなルールにより、指定廃棄物問題の解決に向けて、大きく前進するのが茨城県だ。県内にある約3500トンの指定廃棄物のうち、現時点で約7割が基準を下回っている。10年後には、ほぼ全量が指定解除の対象となる。
解除するかどうかは、環境省と地元自治体が協議して決める。環境省は茨城県内で指定廃棄物を保管する14市町にルール案を提示し、了承された。
他県に保管されている廃棄物についても、1割ほどが指定解除の対象となり得る。これらを含めて、着実に処理を進めたい。
環境省は今回、茨城県では現状のまま分散保管を認める方針も示した。指定廃棄物は各県1か所の処分場での保管が原則だが、茨城県については、例外とした。
焼却処分場など公共施設での屋内保管が多く、飛散や流出などの心配もほとんどないことを考えれば、適切な判断だろう。
だが、処分場建設が計画されている栃木、千葉、宮城、群馬の4県では、状況が異なる。自分の土地に稲わらなどを保管している農家が多い。覆いがあっても、強い雨風で飛散する恐れもある。
4県では、処分場に指定廃棄物を集約することも有効な手段だが、候補地周辺の住民の反対で計画は難航している。環境省は、指定廃棄物の早期処分について、理解を得る必要がある。
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