2015/12/02

放射性セシウム未検出 県内学校給食検査 /福島

2015年12月2日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2015120227104

東京電力福島第一原発事故を受け、県教委が行っている学校給食モニタリングで、平成26年度と27年度上期に調べた26市町村の約3400点全てで放射性セシウムは検出されなかった。放射性物質検査を担当する県の担当課は「農地除染が進んだことなどで県産農産物に含まれる放射性セシウムが極めて少なくなった」とみている。

■農地除染の成果か
学校給食モニタリングでは検体1キロ当たり1ベクレルが検出下限値となっている。年度ごとの検査実施数、放射性セシウムを検出した数は【表】の通り。

24年度は26市町村の112調理場で作った1962点を調べ、うち14点が1ベクレル以上だったが、最大検出量は食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)の40分の1に相当する2・53ベクレル。25年度は23市町村の112調理場の2480点を調べ、うち6点が1ベクレル以上だったが、最大検出量は1・28ベクレルで、前年度に比べ件数、最大検出量ともほぼ半減した。

26年度は121調理場の2859点、27年度は4月から9月末までに549点を調査したが、1ベクレル以上はなかった。

県教委は希望する市町村から給食の提供を受けモニタリングを実施している。一方、小中学校などに配食する県内全ての調理場で日々、放射性物質の簡易検査が行われ、放射性セシウムは1キロ当たり100ベクレル以下であることを確認している。

県産農産物の放射性物質検査を担う県環境保全農業課は学校給食の未検出の要因として、流通までの段階で検査が徹底されているのに加え、農地除染が進み、土壌中から農産物へのセシウム移行を抑制する技術が普及したことを挙げている。

■「正確に情報発信を」 県P連会長
県民の食生活や内部被ばくなどを調査してている東京大大学院理学系研究科の早野龍五教授は「流通している県産品の放射性セシウム濃度は食品衛生法の基準値を大きく下回っている」と指摘した上で、「(学校給食は)今後も検出下限値未満か、仮に検出されても下限値ぎりぎりの値ではないか」との考えを示している。

県PTA連合会の村上和行会長は「食に対し不安を感じる保護者は少なくない。現状の検査態勢を継続するとともに、検査で得られた情報を正確に発信してほしい」と訴えている。

※学校給食モニタリング
平成24年度から県教委が実施している。希望する市町村の調理場で作られた給食を県の検査機関に送り、ゲルマニウム半導体検出器で放射性セシウムの有無と量を調べる。一方、県内59市町村全ての調理場で簡易測定器などによる放射性物質検査が実施され、これまで全ての検体が食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回ると確認されている。

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