2015/08/03

福島の子ども支援 川崎市民の会世話人 小川杏子さん

2015年8月3日 東京新聞神奈川版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150803/CK2015080302000160.html




「親近感のあるイベントにしたい」。川崎市多摩区の多摩川河川敷で今秋開かれる「おひさまフェス×星空上映会inかわさき」の実行委員長を務める。環境などがテーマだが、楽しさを前面に出そうとしている。

■人の輪広げたい

参加者の裾野を広げようと、恐竜の親子の絆を描くアニメ映画「おまえうまそうだな」の無料上映などを予定。「脱原発集会などで会うのは顔なじみ。社会問題を『難しい』と思う人たちと一緒に考え、市民の輪を広げたい」

焦りにも似た思いのわけは「福島第一原発事故の苦難の風化」にある。一九九九年、小学五年生のとき水戸市に住んでいたが、茨城県東海村でJCO臨界事故が起きた。同県日立市在住のいとこは避難し、自分も両親から「外に出るな」と言われ「大変なことが起きた」と震えた。

二〇一一年三月十一日に東日本大震災が起きたときは大学生。帰省して水戸市にいたが、十三日に報道で原発事故を知り「東海村の事故を思い出した。震災で被災した子どもたちが、あの時の私のように『外に出ないで』と言われ不安なのかなと想像した」。

下宿先の横浜市青葉区に戻り、被災地に絵本を送る支援活動に参加。そこで今回のイベント実行委にも参加する「福島の子どもたちとともに」川崎市民の会の活動を知り、参加を決めた。保養で川崎市に招いた福島県の子どもたちは、被ばくに注意する線量計を身につけ、長袖にマスク姿。この事態を招いた原発推進路線を悔しく思った。

■フェスを契機に

それ以後、計十四回の保養プログラムに参加。子どもたちと泥遊びをしたりした。一三年からは会の世話人に。被災地の母親たちが今も内部被ばくをしないよう食事に気を付け、外遊びを制限している実態を知ったが、首都圏でそのことを話題にすると「そんなに悩んだり不安に思ったりする人がまだいるんだ」と周囲の友人から驚かれる。

「復興に向かっているという情報ばかり。放射能汚染を語れば『風評被害』とされる中、被災地の苦しさが見えなくなってきている」と指摘し、九月二十六日に開くフェスが「『普通と思っていたことが、違うのかな』と考えるきっかけになればうれしい」。 (山本哲正)

◆私の履歴書
1989年 水戸市で生まれる
  99年 東海村JCO臨界事故が発生し、水戸市で外出自粛
2011年 同市で東日本大震災に遭う。「福島の子どもたちとともに」川崎市民の会に参加
12年 国学院大文学部卒。人文地理学専攻でお茶の水女子大大学院へ
13年 市民の会世話人
15年 「おひさまフェス×星空上映会inかわさき」実行委員長

0 件のコメント:

コメントを投稿