2016/04/30

小6発案の復興マラソン、全国から2千人 福島・川内

2016年4月30日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ4W54FMJ4WUGTB008.html 

東京電力福島第一原発事故で今も一部が避難指示区域になっている福島県川内村で30日、市民マラソン大会があった。村ににぎわいを取り戻そうと、地元の小学生が発案した。避難先から戻った村民の人数を上回る2千人近くが全国から集まり、参加者は新緑の山村を駆け抜けた。

ハーフマラソンの部で一斉にスタートするランナーたち
=30日午前11時、福島県川内村、岡本進撮影 

「こんなにたくさんの人が村に来てくれてうれしい。帰ったら周りの人に川内の話をして下さい」

開会式で、川内中学1年の遠藤大翔(ひろと)君(12)が述べた。その後5キロマラソンを走った。

福島第一原発の南西約20キロの川内村は、事故後一時全村避難した。村の一部に出ている避難指示は6月にすべて解除される見通し。だが、事故前約3千人いた村民のうち、戻ったのは約1700人にとどまる。

大会の開催は昨年11月、小学6年生だった遠藤君が村に提案したのがきっかけだった。村に多くの人を呼び込むには、どうすればいいか。小学3年生の頃から県内各地の大会で走ってきた遠藤君が考えたのがマラソン大会だった。遠藤君は特別講師として小学校に来た村役場の総務課長に提案し、村幹部らが実現にこぎ着けた。

村外のランナー約1200人のうち半数は県外からで、北海道から沖縄まで35都道府県に及ぶ。家族らを含めると2千人近い。名前が縁で交流を続けている、公務員ランナーの川内優輝選手も参加。小学生らが給水所などでボランティアを務めた。

ハーフマラソンに出場した埼玉県越谷市の消防士、坂本雄太さん(29)は、長野県に住む両親と兄とともに川内村を初めて訪れた。「原発事故での被災は知っていたが、自然が豊かで心地がよい。夏にまた来たい」(大岩ゆり、岡本進)



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