2016/04/15

汚染廃棄物処理問題 県に仮設焼却場要望 先月会議で一部自治体、方針難航も/宮城

2016年4月15日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160415/ddl/k04/040/262000c

東京電力福島第1原発事故で生じた指定廃棄物の放射能濃度基準に満たない汚染廃棄物を巡り、3月に開かれた市町村長会議で一部の自治体が、県が仮設焼却場を建設するよう要望していたことが分かった。村井嘉浩知事は15日、井上信治副環境相と会談し、基準に満たない濃度の廃棄物処理を担う自治体への財政支援を求めるなど、処理に向けた環境整備を進めるが、市町村側にはそもそも県内処分に住民の理解を得る難しさを訴える声も多い。県は次回市町村長会議までに処理方針をまとめる考えだが、難航も予想される。

会議は3月19日に開かれ、村井知事や市町村長が出席。過去8回の会議と異なり非公開で進められた。関係者によると、1キロ当たり8000ベクレルの基準を下回った一般廃棄物について、早急な処理が必要という認識で一致。ただ現行の放射性物質汚染対処特措法では、基準を下回ったものは市町村が一般ごみとして焼却などの処分をすることになり、市町村側からは「焼却炉に余力がない」「周辺住民からの理解を得るのが大変だ」などと声が上がったという。

沿岸部などの複数の町長は、県による仮設焼却場の建設を提案。また仙台圏の市長は「地元への説明の際は環境省の職員が主体になるべきだ」と訴えたという。

これに対し、仙台圏の町長は「どこに造るのかが新たな問題になる」と実現性を疑問視。県南の町長は「(焼却灰を埋め立てる)処理場所が確保されない限り、焼却は無理。排出者である東電の責任において国が1カ所にまとめるよう特措法改正の検討をすべきだ」と法令改正による抜本的な解決を求めた。

村井知事はこの席で、「次回の会議を大型連休前後に開き、意見を整理して県のおおまかな方針を示したい」と述べたという。

村井知事は15日、井上副環境相と会談し、廃棄物処理に国の支援を求める。国や県が今後、市町村側にどのような方針を示すかが注目される。【山田研、川口裕之】

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