2016/04/14

防災や放射線教育に対応 福島大・教職大学院の新設申請

2016年4月14日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160414-065884.php   

現職教員の能力向上を目的とした「教職大学院」の新設について、福島大は13日、大学院の設置計画書を文部科学省に提出したと発表した。来年4月の開設に向け、大学設置・学校法人審議会の審査が行われる。福島大は教職大学院の新設により、防災教育や放射線教育、児童生徒の心のケアなど震災と原発事故で本県が抱えることになった教育課題に対応できる人材を養成する考えだ。

教職大学院は大学院人間発達文化研究科を改組し、同科の教職実践専攻として設ける。定員は16人で、修業年限は2年。現職教員のほか、学部(福島大では学類)の卒業生も受け入れる。

3コースを設定し、学校現場での実習を重視した教育課程を設ける。立場の異なる教員同士で議論し、客観的に自分の実践や研究成果を考える場「ラウンドテーブル」の手法も導入する。また、学校マネジメント論や障害児に対する実践的指導方法の研究などにも取り組む。本県特有の教育課題に取り組む科目も設ける。

千葉養伍人間発達文化研究科長が13日、福島大の定例記者会見で発表した。千葉氏は大学院の新設に向けて「福島県の教育をけん引する『ミドル・リーダー』を養成することが目的だ」と必要性を強調した。



福島大 教職大学院、来春開設へ 教育面から復興支え 現役教員にも門戸開く/福島


2016年4月14日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160414/ddl/k07/100/328000c

福島大は13日、福島第1原発事故からの復興などを担う教員を養成する「教職大学院」の設置を、3月31日付で文部科学省に申請したと発表した。8月末にも設置が認可される見込みで、2017年4月の開設を目指す。東日本大震災や原発事故でメンタルヘルスに不安がある児童・生徒らに対応できる人材を輩出し、教育面から福島の復興を支える。【岸慶太、曽根田和久】

県内では、震災と原発事故後、長引く避難生活にストレスを抱えていたり、津波や地震を体験したときの恐怖を思い出したりする子供が多く、心のケアが課題となっている。

放射能への懸念から屋外活動を制限したことから、体力が低下している子供も多く、震災が生み出した多くの課題に、教員が一丸となって対応することが必要とされていた。3月には、県教委がリーダー役になれる教員を育てるため、福島大に対し、教職大学院の設置を要望していた。

福島大が設置する教職大学院は、教育の研究者や教員経験者ら20人が専任教員を務める。入学定員は16人で、学校現場でリーダー役が期待されるキャリア豊富な教員から、教員採用を目指している新卒者まで、幅広く門戸を開いており、大学院に2年間通う。

入学後は、教育現場でリーダー的存在となる若手・中堅教員を育てる「ミドル・リーダー養成」▽学力や体力向上させるためのスキルを高める「教育実践高度化」▽障害を持つ子供たちへの適切な対応法を磨く「特別支援教育高度化」−−の3コースに分かれる。

全ての学生は、原発事故によって生じた県内特有の教育テーマを学ぶ、講座「福島の学校と教育課題」を受講し、放射線についても正しい知識を持ち、防災に高い関心を持つ子供の育成につなげる。

学生は、大学院での座学と福島大近くの公立小中学校での実習を交互に重ねる。このほかに、学校現場の教員を招いた年2回の教育討論会にも参加してもらい、大学院で身につけた知識やノウハウを学外に広げてもらう。

福島大人間発達文化研究科の千葉養伍(ようご)・研究科長は「復興には10年、20年先を担う人材が不可欠で、子供への今の教育が重要だ。福島の今後を考え、不断に学ぼうとする人を歓迎したい」と話している。

■ことば
教職大学院
法科大学院など実務家を養成する専門職大学院の一つ。学力低下やいじめなど学校が抱える問題の多様化に対応するため、高度な専門性を持ったリーダーとなる教員を養成しようと、2006年に中央教育審議会で創設が提言された。08年4月の19校を皮切りに全国で開設が進み、空白県は福島を含め8県のみ。学校での実習や教員の4割以上を教育現場で経験を積んだ実務家で占めることが義務化されている。修了すれば教職修士(専門職)の学位が授与される。

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