2016/04/20

「爆心地風下、リスク減らず」 大瀧・広大名誉教授が内部被ばくの健康被害語る 南区/広島

2016年4月20日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160420/ddl/k34/040/622000c

米軍による原爆投下で体外から放射線を浴び、直接被爆した被爆者の内部被ばくの健康影響を調べた大瀧慈・広島大名誉教授(統計学)の講演が18日、広島大霞キャンパス(南区)であった。大瀧名誉教授は先月末に退職するまで、広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)の教授を務めていた。講話は、市民団体が主催した映画「A2−B−C」の上映会の一環。

大瀧名誉教授は2008〜09年、市の委託で、被爆者約3万7000人(1970年時点の生存者)の被爆場所と死因との関係を分析し、初期放射線による直接被爆の影響を除いた内部被ばくの健康被害の研究を行った。内部被ばくは、空気や飲食で体の内部から被ばくすることを指す。

これまでは爆心地からの距離が遠くなると、一律に固形がんで死亡するリスクは下がるとされてきた。しかし、爆心地の風下だった北西方向では、リスクが減小していないことが分かったという。

大瀧名誉教授は「放射能を帯びたチリが爆風で舞い上がり、その大気を吸い込んでがんで死亡するリスクを高めていた」と説明。「内部被ばくによる健康影響については、現段階では不明な点が多い。外部被ばくとは桁違いに影響がある可能性がある」と指摘した。(山田尚弘)

被爆者の内部被ばくの健康影響について説明する
大瀧慈・広島大教授=広島市南区で、山田尚弘撮影

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