http://www.asahi.com/articles/ASJ4T4T4NJ4TPTIL017.html
ヴラディーミル・チェルトコフさん=兵庫県西宮市、田井中雅人撮影 |
◇
■ジャーナリストのヴラディーミル・チェルトコフさん
――原発事故から5年、福島でも166人の子どもが甲状腺がん(悪性または悪性疑い)と診断されました。
「チェルノブイリと福島は同じような事故ではない。チェルノブイリは10日間の火事の間に放射性核種があちこちに拡散してしまった。福島は短時間に何度か爆発が起きたが、それで終わった。放射能は出たけれども、放射性物質の拡散はチェルノブイリと全く同じだというわけではないと思う。どういうふうに違うのかは科学者がきちんと調べる必要があるだろう」
――科学者たちは「福島はチェルノブイリとは違う」といい、医師たちも「低線量被曝(ひばく)と福島の人々の健康被害との因果関係は考えにくい」と言います。一方、ICRP副会長でフランスのNPO原子力防護評価研究所(CEPN)ディレクターのジャック・ロシャール氏は福島に頻繁に入って、ベラルーシで実践した「エートス」の活動を広めています。
「チェルノブイリと福島は同じような事故ではない。チェルノブイリは10日間の火事の間に放射性核種があちこちに拡散してしまった。福島は短時間に何度か爆発が起きたが、それで終わった。放射能は出たけれども、放射性物質の拡散はチェルノブイリと全く同じだというわけではないと思う。どういうふうに違うのかは科学者がきちんと調べる必要があるだろう」
――科学者たちは「福島はチェルノブイリとは違う」といい、医師たちも「低線量被曝(ひばく)と福島の人々の健康被害との因果関係は考えにくい」と言います。一方、ICRP副会長でフランスのNPO原子力防護評価研究所(CEPN)ディレクターのジャック・ロシャール氏は福島に頻繁に入って、ベラルーシで実践した「エートス」の活動を広めています。
「ICRPやIAEA(国際原子力機関)は『福島はチェルノブイリと違う』と言うことによって、低線量被曝の影響さえも消去しようとしているのだろう。いわゆる強い放射線による外部被曝の問題と違い、毎日毎日少しずつ摂取せざるをえない環境に置かれる問題は、チェルノブイリであれ福島であれ、いずれにしてもセシウムが体内に入って長く慢性的に摂取することによって細胞が傷つけられ、一種の臓器の崩壊現象が起こってくる。そういうことが、チェルノブイリでも福島でも起こりうる。違いをいくら強調したところで、低線量被曝の問題を否定することはできないだろう」
「私のドキュメンタリー映画『真実はどこに』で、2001年にキエフで開かれた世界保健機関(WHO)後援の『チェルノブイリの健康影響に関する国際会議』の模様を撮影することができました。IAEA、UNSCEAR(国連科学委員会)、ICRPの代表者らと、科学者や現地の医師らが大論争を繰り広げます。当時のUNSCEARのゲントナー事務局長は『内部被曝と外部被曝を分けるのはナンセンスだ』とはっきりおっしゃっている。彼らの主張は、外部被曝だけが健康に影響があって、内部被曝は考慮するにあたらないと言いたいわけです。原子力を推進する国際機関や原子力ロビーは内部被曝というものが実証されると非常にまずい。自分たちの生き残りの問題になってくるので、どうしても否定したい。さらに、低線量被曝が慢性化して健康が悪化してくることを認めて、(ベラルーシでベルラド研究所のネステレンコ氏が導入した)ペクチンが効くということを認めてしまうと一大事になってしまう。ベラルーシの何十万という子どもたちに毎日ペクチンを与えなくてはならないとなると、経済的にも大変なことになるし、原子力が人間の体にいかに悪い影響を与えるかの証明になってしまうのもまずい。だから、あの会議の時点では、内部被曝を認めることは絶対にできなかったのだろう。その主張は今も福島で続いている」
「とりわけ、ペクチンがベルラド研究所によって使われて、かなりの効果を上げたことを一生懸命否定して、そういう資料を一切見ることを拒否する。これはおかしいことであって、人間は日常生活の中でもリンゴや海草を食べてペクチンを摂取し、体を自然に浄化している。それなのに、それを否定して内部被曝がないことにしようとしていること自体がおかしい」
*
――ロシャール氏とベルラド研究所の関わりは。
「当初はネステレンコ氏が立ち上げたベルラド研究所と、そこにやってきたロシャール氏のエートスは協力しようとしていたが、ある時期から、いきなりエートスはペクチンを拒否し、ペクチンを配給するための財政援助は一切しないという形になった」
――エートスが活動したベラルーシのオルマニー村について、ロシャール氏は「あなたもジャーナリストだったら、現地に行って村人に聞くべきだ」と言いました。実際にご覧になっていかがでしたか。
「オルマニー村に行ってみたらいいというロシャール氏の提案は、本当にいいことかもしれません。彼にとっては悪いことになるかもしれないですが。現地の医者や誠実な科学者に案内してもらえば、本当のデータがもらえるかもしれません」
――ロシャール氏によると、オルマニー村の隣の村はダメだそうです。
「UNSCAERのゲントナー氏も、ICRPのロシャール氏も、国際機関で働いている、いわゆる事務官僚です。組織間の調整をして、原子力推進の方向に持っていくということにはたけているが、科学者ではない。あたかも科学的な根拠を持っていて、それを証明できるかのように語る。だけど、自分たちは何の科学研究もしていないし、資料を集めて現場に持っていくかもしれないが、すべてのことを論理的、科学的、医学的に説明できる人たちではない」
――ロシャール氏はフランスの原子力産業から資金をもらっていることを否定しませんでした。原発事故による被曝で困っている人々に身を守る術を教えること、彼のいうところの「放射線防護文化」を普及させることの何が悪いのか、と。故郷に帰りたいと願う福島の人々の心に、これは響くようです。
「彼らが原子力ロビーからお金をもらっているかどうかが問題なのではなくて、彼らの考え方自体が問題です。放射線の影響が体に出ても、彼らは医療的な側面を全部カットしている。治療はしないのです。福島でも流行語になっている『レジリエンス(回復力が強い)』の精神で、とにかくがんばろうという考え方によって、あたかもこの事故は天災か自分が起こした事故であるかのように、自責の念さえ持たせてしまう。受忍を強要する。最後は、自分で自分を責めてしまう。そういう考え方のマニピュレ-ション(操作)をやっている」
――原発事故が起きても放射能の罪を免罪して原子力を維持・推進しているということですか。
「その通りです。住民は放射能のことなんて知らない。さらに郷土愛を利用して、故郷に居続けられるよう私たちはそれを支えますと言う。しかし、医療関係のことは何もしない。ベラルーシでエートスの後に行われたコール・プロジェクトは被災者に自責の念を押しつけるものでした。自分で責任を持って、とにかく何とかやっていきましょう、と」
「ベラルーシのルカシェンコ大統領も今、原子力推進の立場をとっていて、汚染地に住民を戻そうとしている。しかし今年に入り、原発から300キロも離れたミンスクの小学校で2人の少女が心臓疾患で亡くなったら、ベラルーシの保健当局は子どもたちに定期的に心電図をとらせることを決めた。政治のトップがいくら原子力を推進しようとしても、足元の現場ではチェルノブイリ事故の影響が続いていて、医師たちが歯止めをかけている」
*
――福島では、年間20ミリシーベルト以下の場所への帰還を促しています。また、子どもたちに線量計を持たせて、外部被曝線量を測るプロジェクトも行われているようです。
「子どもたちの本当の線量を測りたいんだったら、ガラスバッジのような線量計は意味がない。ホールボディーカウンターで体全体の線量を測る必要があるだろう」
「国際機関が因果関係を認めたのは外部被曝にまつわる病気のみ。ベラルーシでも、甲状腺がんが多発して初めて認めた。当初は原発事故とは関係ないという論調だったが、多発が否定できなくなってから認めていくという経過だった。甲状腺がん以外にも様々な病気が出た」
――鼻血はどうでしたか。福島では「鼻血が出た」と言うだけで「放射能と関係ないのに、そんなことを言うな」とバッシングされるようですが、日本の特殊事情でしょうか。
「私の著書『チェルノブイリの犯罪』の第1部で、(チェルノブイリ原発から68キロの)小学校の場面が出てきますが、鼻血は日常茶飯事です。チェルノブイリ事故の健康影響報告書をまとめたロシアの生物学者ヤブロコフ氏も放射能によって鼻血が出ると認めています」
*
――日本では、ロシャール氏はCEPNではなく、ICRPの帽子をかぶっています。
「(ロシャール氏は)フランスの原子力ロビーの中では尊重されていますが、反原発団体からは批判されています。ただ、一般市民にはほとんど知られていないでしょう。フランスのルモンドやリベラシオンといった主要紙が彼をインタビューして取り上げることはありません」
――ロシャール氏は福島での活動について「次の原発事故に備えるため」と明言しました。欧州では、そういう考え方が受け入れられるのですか。
「人類滅亡にかかわるような原子力過酷事故への備えとしては、それなりの貢献があるのかもしれないが、ロシャール氏の場合はフランスのロビーのために立ち回っているだけです。フランスでは国策として原子力が推進され、核兵器を持ち続けている。原子力がないと社会が成り立たないんじゃないかと思ってしまう人が大半だろう。だが、アレバ社は経営危機に陥り、原発の管理はフランス電力公社に譲ってしまった。それでも、フランスは核産業と結びつく原子力から撤退することは当面ないでしょう」
――日本でも原発維持・推進派の「安全」が声高に叫ばれ、原発事故後に子どもが鼻血を出したお母さんたちは心配でも口をつぐんでいる。市民が真実を見極めるにはどうすればいいでしょうか。
「その質問を受けて頭に浮かぶのは、犠牲になった子どもを持つ母親たちの困惑した表情です。彼女たちは、被害を受けた子どもや自分自身のことが良くわかっている。男性の場合は、生活費を稼がなきゃいけないとか、ローンを返さなきゃいけないとか、社会的な枠の中での義務感や使命を感じてしまいがちです。現実に起こっている自分の健康被害や子どもたちの鼻血の苦しみにはなかなか敏感に反応しない。女性はそれを毎日見届けていて、そのことを実感している」
「何か世界が変わるためには、一点、しっかりと支える場所があれば、ぐっと回転させることができる。支えがなければ回転できない。その支えになるのは、実感している女性たちでしょう。女性たちが本当のことを言えば、社会は変わるかもしれない。希望は福島と福島以外の被災した女性たちの声。これこそが日本社会を変える武器になるでしょう」
「チェルノブイリの後、ネステレンコ氏もいろいろ苦しんで、体制から弾圧され、殺されかかったけれども、多くの女性たちが共感して彼を支えた。医者であり母親であり、現実を見たベラルーシの女性たちです。彼が女性を選んで連れてきたわけじゃなくて、自然にそういう状態が生まれたのです」
◇
Wladimir Tchertkoff ジャーナリスト、ドキュメンタリー作家。1935年、ロシア移民の子としてセルビアで生まれる。イタリア国籍。スイスやイタリアのテレビ局ディレクター。チェルノブイリ原発事故処理にあたった作業員のその後を描いたドキュメンタリー映画「サクリフィス」でイル・ド・フランス(パリ首都圏)環境映画祭最優秀映画賞(04年)。
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「私のドキュメンタリー映画『真実はどこに』で、2001年にキエフで開かれた世界保健機関(WHO)後援の『チェルノブイリの健康影響に関する国際会議』の模様を撮影することができました。IAEA、UNSCEAR(国連科学委員会)、ICRPの代表者らと、科学者や現地の医師らが大論争を繰り広げます。当時のUNSCEARのゲントナー事務局長は『内部被曝と外部被曝を分けるのはナンセンスだ』とはっきりおっしゃっている。彼らの主張は、外部被曝だけが健康に影響があって、内部被曝は考慮するにあたらないと言いたいわけです。原子力を推進する国際機関や原子力ロビーは内部被曝というものが実証されると非常にまずい。自分たちの生き残りの問題になってくるので、どうしても否定したい。さらに、低線量被曝が慢性化して健康が悪化してくることを認めて、(ベラルーシでベルラド研究所のネステレンコ氏が導入した)ペクチンが効くということを認めてしまうと一大事になってしまう。ベラルーシの何十万という子どもたちに毎日ペクチンを与えなくてはならないとなると、経済的にも大変なことになるし、原子力が人間の体にいかに悪い影響を与えるかの証明になってしまうのもまずい。だから、あの会議の時点では、内部被曝を認めることは絶対にできなかったのだろう。その主張は今も福島で続いている」
「とりわけ、ペクチンがベルラド研究所によって使われて、かなりの効果を上げたことを一生懸命否定して、そういう資料を一切見ることを拒否する。これはおかしいことであって、人間は日常生活の中でもリンゴや海草を食べてペクチンを摂取し、体を自然に浄化している。それなのに、それを否定して内部被曝がないことにしようとしていること自体がおかしい」
――ロシャール氏とベルラド研究所の関わりは。
「当初はネステレンコ氏が立ち上げたベルラド研究所と、そこにやってきたロシャール氏のエートスは協力しようとしていたが、ある時期から、いきなりエートスはペクチンを拒否し、ペクチンを配給するための財政援助は一切しないという形になった」
――エートスが活動したベラルーシのオルマニー村について、ロシャール氏は「あなたもジャーナリストだったら、現地に行って村人に聞くべきだ」と言いました。実際にご覧になっていかがでしたか。
「オルマニー村に行ってみたらいいというロシャール氏の提案は、本当にいいことかもしれません。彼にとっては悪いことになるかもしれないですが。現地の医者や誠実な科学者に案内してもらえば、本当のデータがもらえるかもしれません」
――ロシャール氏によると、オルマニー村の隣の村はダメだそうです。
「UNSCAERのゲントナー氏も、ICRPのロシャール氏も、国際機関で働いている、いわゆる事務官僚です。組織間の調整をして、原子力推進の方向に持っていくということにはたけているが、科学者ではない。あたかも科学的な根拠を持っていて、それを証明できるかのように語る。だけど、自分たちは何の科学研究もしていないし、資料を集めて現場に持っていくかもしれないが、すべてのことを論理的、科学的、医学的に説明できる人たちではない」
――ロシャール氏はフランスの原子力産業から資金をもらっていることを否定しませんでした。原発事故による被曝で困っている人々に身を守る術を教えること、彼のいうところの「放射線防護文化」を普及させることの何が悪いのか、と。故郷に帰りたいと願う福島の人々の心に、これは響くようです。
「彼らが原子力ロビーからお金をもらっているかどうかが問題なのではなくて、彼らの考え方自体が問題です。放射線の影響が体に出ても、彼らは医療的な側面を全部カットしている。治療はしないのです。福島でも流行語になっている『レジリエンス(回復力が強い)』の精神で、とにかくがんばろうという考え方によって、あたかもこの事故は天災か自分が起こした事故であるかのように、自責の念さえ持たせてしまう。受忍を強要する。最後は、自分で自分を責めてしまう。そういう考え方のマニピュレ-ション(操作)をやっている」
――原発事故が起きても放射能の罪を免罪して原子力を維持・推進しているということですか。
「その通りです。住民は放射能のことなんて知らない。さらに郷土愛を利用して、故郷に居続けられるよう私たちはそれを支えますと言う。しかし、医療関係のことは何もしない。ベラルーシでエートスの後に行われたコール・プロジェクトは被災者に自責の念を押しつけるものでした。自分で責任を持って、とにかく何とかやっていきましょう、と」
「ベラルーシのルカシェンコ大統領も今、原子力推進の立場をとっていて、汚染地に住民を戻そうとしている。しかし今年に入り、原発から300キロも離れたミンスクの小学校で2人の少女が心臓疾患で亡くなったら、ベラルーシの保健当局は子どもたちに定期的に心電図をとらせることを決めた。政治のトップがいくら原子力を推進しようとしても、足元の現場ではチェルノブイリ事故の影響が続いていて、医師たちが歯止めをかけている」
*
――福島では、年間20ミリシーベルト以下の場所への帰還を促しています。また、子どもたちに線量計を持たせて、外部被曝線量を測るプロジェクトも行われているようです。
「子どもたちの本当の線量を測りたいんだったら、ガラスバッジのような線量計は意味がない。ホールボディーカウンターで体全体の線量を測る必要があるだろう」
「国際機関が因果関係を認めたのは外部被曝にまつわる病気のみ。ベラルーシでも、甲状腺がんが多発して初めて認めた。当初は原発事故とは関係ないという論調だったが、多発が否定できなくなってから認めていくという経過だった。甲状腺がん以外にも様々な病気が出た」
――鼻血はどうでしたか。福島では「鼻血が出た」と言うだけで「放射能と関係ないのに、そんなことを言うな」とバッシングされるようですが、日本の特殊事情でしょうか。
「私の著書『チェルノブイリの犯罪』の第1部で、(チェルノブイリ原発から68キロの)小学校の場面が出てきますが、鼻血は日常茶飯事です。チェルノブイリ事故の健康影響報告書をまとめたロシアの生物学者ヤブロコフ氏も放射能によって鼻血が出ると認めています」
*
――日本では、ロシャール氏はCEPNではなく、ICRPの帽子をかぶっています。
「(ロシャール氏は)フランスの原子力ロビーの中では尊重されていますが、反原発団体からは批判されています。ただ、一般市民にはほとんど知られていないでしょう。フランスのルモンドやリベラシオンといった主要紙が彼をインタビューして取り上げることはありません」
――ロシャール氏は福島での活動について「次の原発事故に備えるため」と明言しました。欧州では、そういう考え方が受け入れられるのですか。
「人類滅亡にかかわるような原子力過酷事故への備えとしては、それなりの貢献があるのかもしれないが、ロシャール氏の場合はフランスのロビーのために立ち回っているだけです。フランスでは国策として原子力が推進され、核兵器を持ち続けている。原子力がないと社会が成り立たないんじゃないかと思ってしまう人が大半だろう。だが、アレバ社は経営危機に陥り、原発の管理はフランス電力公社に譲ってしまった。それでも、フランスは核産業と結びつく原子力から撤退することは当面ないでしょう」
――日本でも原発維持・推進派の「安全」が声高に叫ばれ、原発事故後に子どもが鼻血を出したお母さんたちは心配でも口をつぐんでいる。市民が真実を見極めるにはどうすればいいでしょうか。
「その質問を受けて頭に浮かぶのは、犠牲になった子どもを持つ母親たちの困惑した表情です。彼女たちは、被害を受けた子どもや自分自身のことが良くわかっている。男性の場合は、生活費を稼がなきゃいけないとか、ローンを返さなきゃいけないとか、社会的な枠の中での義務感や使命を感じてしまいがちです。現実に起こっている自分の健康被害や子どもたちの鼻血の苦しみにはなかなか敏感に反応しない。女性はそれを毎日見届けていて、そのことを実感している」
「何か世界が変わるためには、一点、しっかりと支える場所があれば、ぐっと回転させることができる。支えがなければ回転できない。その支えになるのは、実感している女性たちでしょう。女性たちが本当のことを言えば、社会は変わるかもしれない。希望は福島と福島以外の被災した女性たちの声。これこそが日本社会を変える武器になるでしょう」
「チェルノブイリの後、ネステレンコ氏もいろいろ苦しんで、体制から弾圧され、殺されかかったけれども、多くの女性たちが共感して彼を支えた。医者であり母親であり、現実を見たベラルーシの女性たちです。彼が女性を選んで連れてきたわけじゃなくて、自然にそういう状態が生まれたのです」
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たいなか・まさと 中東アフリカ総局(カイロ)、米ハーバード大客員研究員(フルブライト・ジャーナリスト)などを経て、核と人類取材センター記者。(核と人類取材センター・田井中雅人)
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