2016/04/21

埼玉/県営住宅入居の自主避難者、来年度以降も居住OK

2016年4月21日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ4L63FLJ4LUTNB01W.html

東京電力福島第一原発の事故後、政府から避難指示を受けずに避難する「自主避難者」のうち、県営住宅に入居している人を対象に、県は、来年4月以降もそのまま住み続けられるようにする独自の支援策を始めた。避難先住宅の家賃を国が肩代わりする支援策が今年度いっぱいで打ち切られるのを受けた措置。自主避難者の「優先枠」を100戸程度設けるなどする。

県住宅課によると、今月1日現在で204世帯555人の自主避難者が県営住宅や国家公務員住宅、民間住宅で暮らす。避難先の家賃は、災害救助法に基づき、福島県を通じて国が負担してきたが、来年3月で打ち切りに。地元に帰還するか、自費で自主避難を続けるかを迫られていた。

9カ所の県営住宅に暮らすのは36世帯71人。震災から5年が経ち、地域社会で生活基盤が確立しつつあり、県に対して県営住宅への居住の継続や家賃の減免などの要望が出ていた。

これを受け、県は、県営住宅の今年度の1次募集(21日まで)全489戸中、さいたま市や熊谷市、入間市、春日部市、毛呂山町にある9カ所計10戸で自主避難者だけが応募できる優先枠を設けた。7月、10月、来年1月にある募集でも、自主避難者が暮らす団地を中心に優先枠を設け、計100戸程度に広げる方針だ。

優先枠に希望する団地がない場合でも、一般募集枠で当選しやすくする。同じ団地内の住宅に当選すれば、今まで住んでいた住戸を充てるようにし、自主避難者の多くが引っ越さずに住み続けることができるようになるという。家賃の減免措置の適用も検討する。

福島県いわき市から毛呂山町の県営住宅に小学生の子ども2人と自主避難する河合加緒理さんは「収入が低い世帯では、引っ越し費用も大きな負担になる。引っ越さずに済むのはありがたい」と歓迎する。

県内の国家公務員住宅には33世帯107人、民間住宅は135世帯377人の自主避難者がいる。国の支援打ち切りで、来春以降は国家公務員住宅の自主避難者は住めなくなる予定。民間住宅入居者の多くも県営住宅に応募するとみられるが、同課は「安定した生活を送ってもらうため、支援に取り組んでいく」としている。

一方、今回の支援には単身世帯は含まれない。浪江町から上尾市の県営シラコバト団地に避難する橘光顕さんは「震災後に離婚したり死別したりして単身になった人は多い。中でも高齢者は引っ越しなどは難しいので、支援を拡大してほしい」と話した。(平井茂雄)

0 件のコメント:

コメントを投稿