http://www.jiji.com/jc/article?k=2016042400063&g=int
史上最悪規模の放射能汚染をもたらした1986年4月の旧ソ連チェルノブイリ原発事故から26日で30年が経過する。隣接するウクライナ北部の原発城下町プリピャチでは、当時の住民約5万人が強制避難させられ、高層住宅街は廃虚と化した。町からは人間の営みは消え、あるじは野生動物に取って代わったようだ。
当局の特別許可を検問所で提示し、市街地に入る。「メインストリートだった」(元住民)という道路は、長い時間を経て草木が生い茂り、狭い林道のようになっている。抜けると、文化会館やホテルなどが囲う中央広場が広がった。
小さな動物が近づいてきた。町を案内する元住民が、なじみのキツネの名前を「セミョン」と親しみを込めて呼ぶ。3年前から姿を見せるようになった雄で、関係者らの間では人気者だ。好物は肉やソーセージ、魚など。他にもウサギ、シカ、オオカミ、イノシシ、ヤマネコ、ワシなど野生動物が町で観察されるという。
プリピャチを含め、原発の半径30キロの立ち入り制限区域から強制避難させられた住民は10万人以上。大半は首都キエフに移住した。自主的な帰郷者が90年代に約1000人に上ったが、高齢者が多く、現在は約80人に減少。元住民が望郷の念を抱く中、30年が過ぎる。
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