2016/04/21

【報道まとめ】トリチウム処理/福島

トリチウム処理「慎重対応を」 県と県漁連/福島

2016年4月21日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20160420-OYTNT50111.html?from=tw

東京電力福島第一原発で課題になっている放射性物質のトリチウムを含む汚染水の処理について、県や県漁連は20日、郡山市で開かれた廃炉や汚染水に関する会合で、国に対して慎重な対応を求めた。経済産業省の作業部会が19日、水を足してトリチウムの濃度を国の基準(1リットル当たり6万ベクレル)以下に薄め、海に流す方法が最も安上がりだとの試算結果を公表したことに懸念を示した形だ。

トリチウムは水素に化学的性質が似ているため、水から効率的に取り除くことが難しく、汚染水処理で問題になっている。

経産省の作業部会は19日、処理に関し、〈1〉地下水があるところよりも深い地層に注入する〈2〉水で薄めて海に流す〈3〉水蒸気にして大気に放出する〈4〉水を分解して水素ガスとして放出する〈5〉セメントで固めて地下に埋める――の五つについて必要な費用と期間の試算を公表。〈2〉だと7年4か月、34億円で済むが、ほかでは8年2か月~13年間に及び、費用も349億~3884億円かかると説明していた。

20日の郡山市での会合で、県幹部は「県民の理解を得られるように慎重な議論を」と要請。県漁連の野崎哲会長も海洋放出に伴う風評被害を念頭に「社会的リスクを考慮して慎重に進めてもらいたい」と促した。

高木陽介経産副大臣は「丁寧に説明する」と述べるにとどまった。終了後、野崎会長は報道陣に対し「我々は海洋放出に反対。乱暴な議論になると困る」と警戒感を示した。



汚染水のトリチウム処分 慎重議論求める 評議会で関係者

2016年4月21日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2016042130455

政府が東京電力福島第一原発での廃炉作業や汚染水対策を進める上で地元の意見を聞く場の「廃炉・汚染水対策福島評議会」の第11回会合は20日、郡山市のホテルハマツで開かれた。出席者からは汚染水浄化後に残る放射性トリチウムの処分方法について、県民の理解を得ながら慎重に議論を進めるよう求める意見が相次いだ。
政府は、19日にトリチウムの処分方法の中で海洋放出が最も短期間で低費用との試算結果を初めて提示している。福島評議会では、出席した鈴木正晃副知事が「(トリチウムの処分方法の)選択肢を検討することは否定しない」とした上で「風評などに大きな影響を与えるので、県民の理解を得られるよう慎重に議論を進めてほしい」と要請した。野崎哲県漁連会長は「法律だけでなく、環境学的な視野を踏まえて議論を進めるべき」と述べた。
議長を務めた高木陽介経済産業副大臣は「あくまでも試算結果。意見をしっかり聞きながら議論を進めたい」とした。
会議には政府や県、第一原発周辺の市町村、農林水産業や商工業団体の代表者ら約40人が出席した。



「コスト強調」試算に注文 トリチウム処分試算で福島県や漁連

2016年4月21日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160421-067816.php

東京電力福島第1原発の廃炉と汚染水対策に地元の意見を反映させる国の廃炉・汚染水対策福島評議会は20日、郡山市で開かれ、国の作業部会が汚染水の浄化後に残る放射性トリチウム(三重水素)の処分方法や試算を明らかにしたことを受け、県漁連や県が国に風評など社会的な影響を踏まえた慎重な議論を求めた。

トリチウムの濃度を水で薄めて海中に放出する「海洋放出」が最も短期間に低コストで処分できるとする試算について、鈴木正晃副知事は「トリチウム水の放出は環境と風評に大きな影響を与える問題。経済的合理性だけでなく、社会的な評価を含めて議論してもらいたい」と注文を付けた。

トリチウム水をトリチウムが濃い水と薄い水に分離する技術の実用化は、現時点では難しいとする国の見解について県漁連の野崎哲会長は「分離技術の開発を諦めることのないようお願いしたい」と要望した。

また野崎会長は報道陣の取材に「経済的合理性だけでは判断できない。乱暴な議論は困る。今声高に叫ぶ問題ではない」と作業部会の試算にくぎを刺した。

評議会後、高木陽介経産副大臣は取材に対し「作業部会はあくまでも試算という形で出しただけ。風評被害など当事者にとって大変重い問題をしっかりと受け止め、丁寧に議論を進めたい」と述べた。

トリチウム水の処分を巡っては、経済産業省が設置した有識者による作業部会が19日に試算などを示した。作業部会が今後取りまとめる報告書を基に、国の汚染水処理対策委員会が処分について議論を開始する。



<福島第1>トリチウム海洋放出 議論慎重に

2016年4月21日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201604/20160421_63058.html

東京電力福島第1原発の廃炉の進展状況などを国や東電が説明する「廃炉・汚染水対策福島評議会」が20日、福島県郡山市であった。汚染水の浄化後に残る「トリチウム」の処分方法について、海洋放出が最も短期間に済んで低コストだとの試算を国がまとめたことに、地元関係者から慎重な議論を求める声が相次いだ。

海洋放出を容認しない姿勢を示す県漁連の野崎哲会長は「(従来通りの)タンク保管も評価に入れるべきではないか」と指摘。鈴木正晃副知事は「経済的合理性だけではなく、風評被害などのリスクも踏まえて議論してほしい」と要望した。
評議会の議長を務める高木陽介経済産業副大臣は会議後、「科学的に安全であっても(漁業者ら)当事者にとっては重い問題であり、しっかり受け止めて議論していく」と述べた。



トリチウム除去は困難、海放出が最短と評価 経産省部会

2016年4月20日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ4M4CJ2J4MULBJ00K.html

東京電力福島第一原発にたまり続けている低濃度の汚染水対策で、除去が難しい放射性物質トリチウム(三重水素)について経済産業省の作業部会は19日、分離は困難とする評価をまとめた。さらに五つの処分方法を検討した結果、水で薄めて海に放出する方法が最も短期間で安く処分できると評価した。

福島第一原発の敷地内には、溶け落ちた核燃料を冷やすための注水などで発生した汚染水が約80万トンたまっている。放射性セシウムなどを多核種除去設備ALPS(アルプス)で取り除いているが、トリチウムは水分子をつくる水素そのものが放射化したもので、いまある設備で分離するのが困難だった。

経産省は、約30億円を投じてトリチウムの分離方法を公募。企業6社と1大学が応じた。国内外の専門家に評価を依頼したところ、「すぐ実用化できる技術は確認されなかった」と結論づけた。企業独自によるコスト試算も、141億円から18兆円と幅があった。

処分方法については、深い地層に注入、海洋放出、蒸発や電気分解して大気放出、セメントで固めて埋設する5案を検討。海への放出は34億円、処分完了まで7年4カ月と評価した。

こうした評価を参考にして、東電が処分方法を決める。東電は、溶けた燃料に触れた汚染水は放射性物質の除去後も、地元の関係者の理解なしには海洋放出しないと説明している。

検討されたトリチウム水の処分方法

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