2016年5月24日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160524/ddl/k09/040/221000c
東京電力福島第1原発事故に伴う指定廃棄物問題で、第7回県指定廃棄物処理促進市町村長会議が23日、宇都宮市の県公館で開かれた。環境省が目指す指定廃棄物の放射性物質濃度の再測定が主な議題だったが、首長らの関心は、基準値(1キロ当たり8000ベクレル)を下回った場合の対応に集中。「再測定は課題が多い」などとする声も上がったが、井上信治副環境相は会議後「再測定を始めることについては理解が得られた」と話した。【高橋隆輔】
環境省は再測定の目的について「指定廃棄物の処理促進に資する」と説明し、「再測定と指定解除は別物」と強調した。その上で、再測定のルールについては、保管する市町と、農家などの了解を得て、5月末〜8月に実施。9月をめどに結果を公表する。また、指定廃棄物の量を考慮して稲わらなどの農林業系廃棄物は抽出調査とし、箇所数で全体の20%程度、重量では15%程度の測定を目指す。
一方、測定結果が偏った値だと判断した場合はその旨を添えることや、その場所の代表的な濃度の試料を採取できない場合は対象から外すことなども方針としており、恣意(しい)性の排除も課題となる。測定後の処分方法については「今日の議題は再測定の実施」として具体的に語らなかった。
環境省からの説明後の意見交換では、矢板市の斎藤淳一郎市長が「再測定と指定解除が別物だとするなら、宮城県のように思った以上に減衰していた場合はどう対処するのか」と発言するなど、環境省の真意をいぶかる声が次々と上がった。
これに対して環境省側は「指定を一方的に解除することはない。8000ベクレルを下回っても解除しない限り指定廃棄物で、国が責任を負う」と繰り返した。会議の最終盤には、福田富一知事が「結果がまとまる9月までには、解除後の処理について明確なビジョンを示してほしい」と要求した。
井上副環境相は会議後、「処理方針はこれから県や市町村長と議論しながら提案する。再測定しながらよく協議したいが、国が責任をもつということは変わらない」と述べた。恣意性の排除については「住民の立ち会いや作業の公開など、要望があれば考えたい」と話した。
0 件のコメント:
コメントを投稿