2016/05/16

救急医療確立が急務 大熊の常磐道死亡事故、早期の4車線化必要/福島

2016年05月16日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160516-076267.php

大熊町の常磐道で大型連休中の4日夜、乗用車と高速バスが正面衝突して広野町の母娘2人が死亡、後続車を含む40人が重軽傷を負った交通事故は、発生から10日余が経過した。東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となっている区間では初めての死亡事故となり、救急医療体制の確立や安全対策などの課題が関係者に突き付けられた。浜通りを南北に貫く常磐道は復興加速化の大動脈となるだけに、抜本的な対策が急がれている。

◆◇◇帰還困難区域
「多数の負傷者に休日、夜間、帰還困難区域と複合的な要因が重なった。あらゆる事態を想定し、対応策を練らなければ」。双葉地方消防本部の金沢文男消防課長は「事故の検証を救急活動に生かす」と強調した。

現場では負傷者の治療の緊急度を判断するトリアージが行われ、救急治療が必要とされる14人は現場から福島医大(福島市)といわき、相馬、南相馬各市の病院に分けて搬送された。

原発事故前、双葉郡には西(浪江町)双葉厚生(双葉町)県立大野(大熊町)今村(富岡町)の四つの救急病院があったが、現在はゼロ。2月に開所した県立ふたば復興診療所(楢葉町)は救急に対応できず、2次医療を担う体制づくりが喫緊の課題だ。内堀雅雄知事は9日の定例会見で「一刻も早い2次救急医療体制の構築に取り組む」と述べた。

雨で視界がかすむ常磐道事故現場付近。大型車の交通量が増す中、
対面交通の危険性を指摘する声が強まっており、早期の全面4車線化が求められる=11日、大熊町 

◇◆◇対面交通区間
「大型車が反対車線を走ってくると圧迫感があって怖い。恐れていたことがとうとう起きてしまった」。常磐道の整備促進を国などに要望してきたNPO法人ハッピーロードネットの西本由美子理事長(62)=広野町=は唇をかんだ。

現場は片側1車線の対面交通区間で、中央分離帯の代わりにラバーポールとブロックが連なる。事故では乗用車が反対車線にはみ出し、高速バスに激突した。

常磐道を巡っては昨年3月の全線開通後、第1原発の廃炉や復興事業、中間貯蔵施設への輸送で大型車を中心に交通量が急増し、対面交通の危険性を指摘する声が後を絶たない。西本理事長は「国は地域性を踏まえた高速道の在り方を考えるべきだ」と警鐘を鳴らす。

◇◇◆「切なる願い」
国土交通省と東日本高速道路は、暫定的に2車線のいわき中央―広野インターチェンジ(IC)間(延長26.6キロ)を2021(平成33)年3月末までに4車線に広げる方針だ。広野ICより北の区間は追い越し車線の追加が検討されているが、4車線化のめどは立たず、県や浜通りの市町村が国などに早期の全面4車線化を強く求めている。犠牲者が出た広野町の遠藤智町長は11日、自民党への緊急要望で訴えた。「帰還した住民の安全、安心を守るために一日も早い4車線化が切なる願いだ」


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