http://mainichi.jp/articles/20160523/ddl/k07/040/134000c
東京電力福島第1原発事故による南相馬市の避難指示解除に向けた住民説明会は22日、計4日間の日程が終了した。7月1日を解除目標と示した国の原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長は終了後、報道陣に対し「さまざまな意見があったが、新たに対応しなければならない課題が出てきたわけではないと思う」と語り、当初方針を維持する考えを示した。実際の解除日は27日にも市と最終協議して判断する。
22日の説明会は、居住制限区域に指定された川房地区など放射線量が比較的高い小高区西部の住民が対象だった。
同地区内では除染が終わった後も線量が下がり切らないため、追加の除染が続いている家も多く、参加者の意見は「除染に同意していない世帯の作業も終わってから解除してほしい」「農業を再開して作物が売れるようにならなければ、自宅に戻っても生活が成り立たない」など、7月の解除に反対する声や、他地域と時期を切り離すよう求める声が多数を占めた。
桜井勝延市長は「(一通りの除染で放射線量は)健康に害がない安全な水準になっているが、安心できる水準に達するには引き続き努力が必要だ」と説明。一方で、小高区への進出企業から従業員向けの住宅を確保してほしいと要望が寄せられているが、避難指示区域には住民登録ができないことなどを例に挙げて、解除の必要性を示唆。「復興には外から入ってくる人の力も必要だ」と理解を求めた。
会場からは住民の声を無視して解除手続きが進んでいるとの不満も相次いだ。桜井市長は「2013年から3カ月ごとに毎回複数の説明会を開き、住民の要望に一つずつ真剣に対応してきた」と反論。「厳しい状況だからこそ、みなさんの気持ちを前に向けていくことが必要だ」と訴えた。
終了後、桜井市長は数日中に市としての考えを固めると語った。そのうえで「住民の厳しい声は、私への激励と受け止める。国にはしっかり意見を伝え、できるだけ合意した形で解除日を決定してもらいたい」と述べ、国が示した解除日の変更もあり得るとの立場を示した。【大塚卓也】
住民説明会では、避難指示解除について 問題点や要望を述べる人々が相次いだ =南相馬市小高区で |
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