http://www.sankei.com/region/news/160531/rgn1605310017-n1.html
東京電力福島第1原発事故を受け、福島県二本松市から鯖江市に移り住んだ男性が、農家民宿の運営に励んでいる。「地域に活気を与えられるような宿に育てたい」。移住先で人の温かさに支えられた恩返しにと、昨年4月に始めた。
鯖江市中心部から東に約10キロの山あいの田園地帯に「ざくろの宿」を構えた。オーナーは農業、柑本修さん(47)。農作業や田舎暮らしを体験できる農家民宿として、いろりや縁側が残る築50年の木造2階建ての空き家を改修した。
福島で無農薬の米栽培をしていた。原発事故で知人を頼って家族と福井へ自主避難。放射線への不安から永住を決めた。「食料や衣服を分けてもらい、人の温かさに触れたのも大きなきっかけになった」。地域で空き家が増えているのを知ったのも後押しした。
宿泊客は近隣の畑で、有機農法により栽培するニンニクやサトイモなどを収穫したり、地元の食材を使って自炊をしたりする。近くで渓流釣りや、雪かきも体験できる。住民が手料理をお裾分けに来て、宿が新たな交流の場になりつつある。
これまで台湾からの修学旅行生や、部活の合宿で訪れた大阪府の大学生ら約40人を受け入れた。宿泊客から「何度でも訪れたい」「都会で味わえない自然の豊かさを実感した」といった感想が手紙などで寄せられ、手応えも感じている。
「避難してから、たくさん応援してもらったおかげで新たな人生を歩み出せた。私が味わった福井の人の優しさを、おもてなしして少しでも伝えられれば」。改めて感謝の気持ちを胸に込めた。
ざくろの宿の情報はウェブサイト「ふくいのエコグリーンツーリズム」の中から閲覧できる。
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