http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016051602000180.html
東京電力福島第一原発事故で発生した高濃度(一キログラム当たり八〇〇〇ベクレル超)の放射性物質を含む指定廃棄物について、千葉市は十七日から、保管する約八トン分の指定解除に向けた協議を環境省と始める。県内分を集中保管する処分場の建設候補地となっている市が保管する廃棄物の放射能濃度は低く、市は持ち分を「ゼロ」とし、あらためて受け入れ拒否を主張する方針。一方、環境省は引き続き市に建設への理解を求める構えだ。 (内田淳二)
環境省が四月末に指定解除のルールを定めて以降、県内で指定廃棄物を保管する十市と協議するのは千葉市が初めて。再測定で放射性セシウム濃度が基準を下回った場合、通常のごみと同様の処分を認める。十七日は担当者レベルで測定方法などを話し合う。
八〇〇〇ベクレルは、放射性物質を含む焼却灰を処理する作業員が一日八時間、年間二百五十日の労働時間のうち半分の時間を焼却灰の近くで作業しても、年間被ばく線量が上限の一ミリシーベルトを下回ることが確認されている放射性物質濃度。
県内十市が保管する指定廃棄物は約三千七百トンとされているが、放射能は時間とともに減衰するため、環境省は今年一月現在、二千五百トンになったと推計している。このため千葉市分を含め、指定時の濃度が一万ベクレル以下の五百七十トンはすでに基準以下になっているとみられている。
市は沿岸部にある東電火力発電所の敷地が処分場候補となって以来、省側の説明不足や液状化の危険を挙げ、各自治体での分散保管を主張してきた。熊谷俊人市長は指定が解除された場合、「ゼロの千葉市に集約するのは市民の理解が得られない」と環境省への説得材料に加える考えを示している。
一方、環境省は今年二月に茨城県で分散保管を認めた後も、千葉県では集中保管する方針を繰り返し表明。
茨城県は、濃度が高くないものが全体的に多いといった違いがある上、千葉県内の処分場の選定手法やプロセスは「県内自治体の総意に基づく」との立場で、丸川珠代環境相は十日の記者会見でも「放射能濃度が下がるまで長期間を要するものは、引き続き一カ所で処理させてもらいたいとお願いする」と述べた。
また、実際に解除されても一定の濃度は残っているため、受け入れを許可する処理場が見つからない可能性があるなど課題もある。千葉市は解除後も当面、現在置かれている清掃工場で保管するという。
県内で最も多い約千トンを保管する柏市は、放射能濃度が比較的高い廃棄物が多いことなどから解除手続きには慎重で、国の集中管理の方針を支持している。
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