2015/08/01

福島/福島第1原発事故 楢葉町学校再開「17年4月が妥当」 検討委、来春は「性急すぎる」 

2015年08月01日 毎日新聞 
http://mainichi.jp/edu/news/20150801ddlk07040182000c.html


楢葉町の学校再開の時期について、保護者や有識者らで構成する町の「学校再開検討委員会」は31日、いわき市で会合を開き、2017年4月が妥当と結論づけた。町が7月行った保護者へのアンケート調査で、16年4月より17年4月の再開ならば「通学する」と答えた人数が多かったほか、「迷っている」と答えた保護者から木戸ダムを水源とする水道水や医療への不安、住宅再建が進んでいない現実などを指摘する記述があり、16年4月の再開は「性急すぎる」とした。【栗田慎一】


「安全安心な学ぶ環境が保護者たちの最大の関心事。学校再開までしっかりと環境を整えたい」。この日の会合の後、矢内賢太郎・町教育長が言った。


町が13年1月にいわき市に開校した小中学校の仮校舎に通う児童生徒数は少しずつ増え、現在は計142人。だが、今回の調査で17年4月に学校が再開すれば「通学する」と答えた保護者は36人で、児童生徒は4分の1に減る。それでも、矢内教育長は「全町村避難が続く双葉郡のほかの町村の教育長から『その数でもすごい』と励まされた」という。


学校の再開時期が議題の中心となった今回の会合では、「迷っている」と答えた40人以上の保護者の意見が焦点となった。「けがをした時の医療施設は十分か」「(放射性物質が底に沈殿ている)木戸ダムの水が安全だと言われても安心できない」「16年4月までに住宅が再建できない」などの記述があり、「より環境が整っている」17年4月の再開が決まった。


学校を町に戻せばいわきの仮校舎は閉鎖となる。アンケート調査で、いわきからのスクールバスの運行を求める意見もあったが、朝は復興関連工事車両で楢葉に向かう国道が渋滞し、夕方はいわきに向かう道路が渋滞するため、「授業の開始時間に到着できない恐れがある」として断念を決めた。一方で、逆の車線は朝夕とも渋滞しないことから、避難指示解除後に家族と帰還し、学校再開まで仮校舎に通う児童生徒向けのスクールバスの運行を求めた。


町教委は昨年以降、計3回にわたって保護者の意向調査を実施。昨年12月の前回調査は、16年4月に学校を再開する場合のみを想定した質問で、「戻る」が21人▽「迷っている」51人▽「戻らない」55人だった。このため、町民から避難指示解除と学校再開が同時期になることへの懸念が出され、松本幸英町長は2月の町民との懇談会で、「学校再開は避難指示解除の1年後とすることもありえる」と述べていた。


今回の調査では、避難先の自治体の学校に通学している子どもたち(就学対象者の76%)の大半の保護者が回答しなかったことから「移住」が急速に進んでいる実態も浮かび上がった。いわき市立の小学校に子どもを通わせる母親(42)は、「子どもは避難先の学校にようやくなじんだ。原発事故後の4年半の間に何度も転校を強いられるのは、子どもにとって苦痛以外何ものでもない」と語った。

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