2015年8月7日
http://www.sankei.com/smp/region/news/150807/rgn1508070080-s.html
多摩市の絵本作家・画家の夢(む)ら丘実果さんが、港区の東洋英和女学院で、東京電力福島第1原発事故を題材にした絵本「とどけ、みんなの思い 放射能とふるさと」の読み聞かせを行った。動物目線で、原発事故のため故郷を離れた人たちの思いを描いた絵本。「東日本大震災のことを、忘れないきっかけになれば」という。
昨年2月に出版された絵本の主人公は原発近くで飼われていた猫のミャーサ。事故をきっかけに、飼い主とともに遠くの都会に避難した猫の目線から、故郷に帰ることができない人たちや、取り残された動物たちのことを思い、事故を後世に語り継ぐことを誓うストーリーだ。
9年前から全国の小中学校で読み聞かせを行っている夢ら丘さん。震災の前年には、福島市内の中学校を訪れた。「花と緑にあふれて美しいところ」と当時の福島の印象を振り返る。
震災後は、家族と離れ離れに暮らすなど被災地の人たちの苦しみを聞く中で、「何ができるのか」と考え、絵本の制作にたどり着いた。文は夢ら丘さんが、絵は同県三春町出身の渡辺あきおさんが担当した。
7月に東洋英和女学院中学部の1年生に行われた読み聞かせでは、スクリーンに映し出された柔らかなタッチの絵を見つめながら、生徒らは真剣な表情で聞き入った。
1年生の女子生徒は「4年がたち、震災のことを忘れている人が多いと思う。読み聞かせをきっかけに、このことを多くの人に伝えたい」と感想を語った。夢ら丘さんは「原発の賛否を問うものではなく、故郷を守りたいとの思いを込めた」と話している。
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