2016/04/10

<ひと物語>福島の親子の力に 「茨城保養の会」の代表・鈴木真美子さん

2016年4月10日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201604/CK2016041002000162.html

東京電力福島第一原発事故をきっかけに、二〇一四年、脱原発を訴える仲間と十二人で「福島の子ども達とつながる茨城保養の会」をつくった。毎年、夏休みに、福島県の親子十組ほどを無料で桜川市に招いている。市内の公共施設やバンガローに三、四泊し、子どもたちは笠間市で開かれる陶芸教室に参加したり、つくば市のJAXA(宇宙航空研究開発機構)筑波宇宙センターを見学したりして茨城を満喫する。この間、母親らは、腸の働きを助け、免疫力を高める米こうじや、みその造り方を学ぶ。

保養の目的は「免疫力を高め、放射性物質を体外に排出すること」という。食事は桜川市や結城市、古河市など県西地域の新鮮な野菜や肉を調理し、桜川特産の小麦「ユメシホウ」を使ったパンやすいとん、シチューを振る舞う。提供する食品全て、自分たちの手で放射性物質を検査している。事故後、福島では、母親たちが周囲を気にして、食の悩みを打ち明けられない現実があるという。「親なら、たとえ短期間でも、体に良い物を子どもに食べさせたいはず」と力を込める。

県西地域で農業の改良普及員として三十八年間、県産の大豆やコメの消費を増やすため、みそや米こうじ作りの普及に努めた。一九八六年、旧ソ連(現・ウクライナ)で発生したチェルノブイリ原発事故に衝撃を受け、原発に関心を持つようになり、独自に勉強会や講演会を開いてきた。周辺で多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいるのを知り、心を痛めた。「当時、二人の娘が、まだ小さかったので、ひとごととは思えなかった」

退職した翌年には、福島第一原発事故が起こった。夫(66)の出身地が福島県郡山市だったこともあり、原発事故の影響を真剣に考え、福島を応援する方法を模索した。二〇一三年春ごろ、仲間と勉強したり、福島を視察したりする中で保養について知った。「短期間でも放射線量率の低い地域で過ごしてほしい。食事のサポートなら、職場で培った知識が生かせるはず」と会の結成にたどり着いた。

「事故から五年がたつが、なお収束せず、多くの親子が放射性物質に苦しんでいる」と訴える。母親らから、保養の継続を要望する声が会に届いている。資金を集めるため、福島県内の仮設住宅に暮らす親子や農家の現状について学ぶ講演会を開き、カンパを募っている。「今後は年一回ではなく、数回できるよう取り組んでいきたい」と意欲を見せる。(山下葉月)

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<すずき・まみこ> 1951年10月、桜川市生まれ。女子栄養短大に在学中、長野県の農村を訪れ、土地に合わせた農作物の栽培に興味を持ち、県職員として農業の世界へ。市の特産品の小麦「ユメシホウ」やみそ造りの普及に貢献した。2010年に退職した後、夫と共に家庭菜園でブルーベリーを育て、市内の自宅の一角に工房「イチョウの木」を開き、米こうじやジャムを作っている。問い合わせは事務局=電0296(76)1565=へ。

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