2016年5月1日 河北新報
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201605/20160501_53004.html
山形県米沢市の2人の女性が開いている東京電力福島第1原発事故の避難者とのお茶会「きっさ万世」が、今月で5年を迎える。毎週水曜日、市内のコミュニティーセンター和室を会場にした2時間の交流の場は、特に母子避難者たちの心安らぐ場として大きな役割を果たしている。
「この場があって、とても心強い。困った時やストレスがたまった時など相談に乗ってもらい、助かっている」。東日本大震災が発生した2011年の夏からほぼ毎週のように通う、伊達市から避難中の30代主婦は言う。
煮物や漬物、おひたし、まぜご飯…。参加者が持ち寄る食べ物がテーブルに並ぶ。すっかり顔見知りとなった避難者たちが食事をしながら、支援者との会話に花を咲かせる。そばには子どもたちの世話を焼く支援者もおり、母親たちはくつろいでいる。
テーブルを囲んで避難者らと談笑する(左から)沢田さん、石田さん |
主宰する石田光子さん(77)と沢田美恵子さん(66)は生協活動に熱心に取り組んできた。震災直後から支援に動き、避難者らが見知らぬ土地で孤立しないようにと、お茶会を始めた。
「名前も境遇もこちらからは聞かない。場をつくって、そこに人が集まる。相談されれば、できる限り応じてきた」。そんな運営の仕方に共感の輪は広がり、僧侶や定年退職者、主婦ら毎回10人前後のボランティアが集まる。
帰還者が増え、避難者の参加数は減っているが、抱えている悩みは尽きない。「2時間だけの限られた場だけど、必要としている人たちは今でもいるの」と沢田さん。昨年暮れに夫を亡くした石田さんは「あたしこそ、この場に救われたの」としみじみと語る。
「たとえ1人になっても、来る人がいる限り続けていきたい」。主宰する2人はこう口をそろえる。
米沢市は福島県内からの避難者数を毎月公表しており、同市内で暮らすのは4月7日現在で731人。
0 件のコメント:
コメントを投稿