2016/05/13

玉野小・中(相馬)今年度で廃校 自主避難で子ども減 /福島


2016年5月13日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2016051330880 

相馬市西部の山あいにある玉野小と玉野中が今年度末で廃校の見通しとなった。少子化に加え、東京電力福島第一原発事故に伴う住民の自主避難で子どもの数が大きく減り、来春は児童・生徒が計6人になるため市は対応を決めた。小学校は約140年、中学校は約70年の歴史に幕を閉じる。

市は12日、市役所で総合教育会議(議長・立谷秀清市長)を開き方針を決定した。6月定例市議会に両校を廃校とする条例改正案を提出する。

玉野小は現在、5、6年生1人ずつの計2人、玉野中は1年生3人、2年生1人、3年生6人の計10人。来春は入学予定の児童がおらず、児童1人、生徒5人となる。

東日本大震災と原発事故が発生した平成22年度の児童は23人、生徒は12人だった。しかし、玉野地区では比較的高い放射線量が計測され、複数の世帯が市内の仮設住宅などに自主的に避難したため児童・生徒の転校が相次いだ。玉野幼稚園は23年11月から休園となっている。

今後も子どもの数が増える見込みはないため、市は昨年から保護者や住民と小中学校の在り方について協議を進めてきた。この結果、「子どもの将来を考え、集団生活を体験させるべき」との意見で一致したという。

休校でなく廃校の場合、学校教育法によって自治体による通学の支援や、学校施設の転用が可能となる。幼稚園も廃校とする考え。市は来年4月から、玉野地区と15キロ離れた山上小、18キロの距離がある向陽中までスクールバスを運行する方針だ。

玉野小は明治7年5月、玉野中は昭和24年10月に開校した。玉野地区は3月末時点で184世帯あり、人口は417人。

持舘直正市教育部長は「地域住民は『廃校はやむを得ない』と苦渋の決断をした。子どもの通学手段の確保や学校の跡地利用などをしっかり進めたい」と話している。

■思い複雑「結論尊重」住民
地域のシンボルである小中学校の廃校を住民は複雑な思いで受け止めている。

玉野第2行政区長の高玉武志さん(58)は3月まで玉野小中PTA会長を務めた。昨年から、学校の在り方を検討する地元組織の代表として保護者や住民と何度も意見を交わしてきた。「本来であれば残してもらいたい。ただ、子どもたちを思い皆で出した廃校という結論を尊重したい」と心境を明かした。

60代の男性は「学校から子どもたちの元気な声が聞こえなくなるのは寂しいが、悲しんでばかりもいられない。復興に向けて進みたい」と語った。

■震災の影響で6小中校休校 県内
県教委によると、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により12日現在、浪江町の幾世橋、請戸、大堀、苅野の小学校4校と浪江東、津島の中学校2校が休校している。

今年度末で廃校の見通しとなった玉野小

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